第二章 自分自身の真実。

6話 魔王と魔王。

歪みの中に入ってから2、3分程で、先程いた場所と違う場所に出た。


「ここが魔界か…空は青いんだな。」


魔界と聞けばやはり赤い空とかを想像してしまう。…偏見だろうか?


「どこへ行くんだ?」


「邪神を倒すならこのまま真っ直ぐに魔王城だけど…。」


そう話していた時だった。何かが歪みの中から飛んでくる気配がした。

歪みからは約200m離れているが、一応、メフィアを抱えて【縮地】で、後50m程跳ぶ。

歪みから約250m離れた直後、歪みの中から誰かが飛び出し先程まで俺達がいた約200mの所へ誰かが降り立った。

俺はすぐさま【神眼】を使った。


エミリア・スレイル Lv799種族:吸血鬼

HP:57000/57000

MP:130000/130000

STR:40000

VIT:9800

AGI:64000

DEX:34000

INT:49000

MND:78000

LUK:500

属性:魔王

スキル:能力複製スキルコピー 吸血 魔王 魔眼 魅了 再生 言語理解


(スレイル…?ということは…)


まさか、と思いよく見るとその容姿はメフィアと瓜二つだった。唯一違う所があるとしたらそれは髪型だろう。メフィアはロングヘアだったが、このエミリアという少女はショートヘアだった。

と、そこで見たことのないスキルを見つける。


(?なんだ?あのスキル…“神眼”で、視てみるか。)


能力複製スキルコピー レアリティ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

スキルを複製コピーすることが出来る。 

複製したスキルには回数制限が、ある。

ULGRアルティメットレジェンドレア以上のスキルだと、回数制限が大体1回になる。


魅了 レアリティ ☆☆☆☆

相手を魅了することで眷属としても扱える。

成功率はLUKに比例する。

約70%の確率で、魅了することが可能。


(『能力複製スキルコピー』TUEEE!なんだよそのチート…まぁ、俺の『能力創造スキルクリエイター』と『矛盾パラドックス』に比べたら少し劣るが…)


そして、俺はちらり、とメフィアを見た。

メフィアは─青ざめていた。


「エ、エミィ!?なな、なんでここに…」


メフィアがそう言うと、エミリアは顔をぱぁ、っと明るくする。                 


「お姉様!会いたかったよ…♡さぁ、私と愛し─「ハルトッ!逃げるよ!」…あれ?」


メフィアはエミリアの言葉を遮り、俺の手を掴んで走り出す。


「お、おい、どういうことだよ?お前の妹なんだろ?」


走りながら俺は訊く。


「そうね…私の妹よ…」 


「だったら何で…」


俺がそう訊くとメフィアは意を決し、重い口を開いた。 


「…あの子は私がどこへいようと、キスをしようとしてきて、私が無防備に寝てると私の…『アレ』を舐めてきたり…自分の『アレ』を私の『アレ』にこすりつけてきたり…あの子は異常なの…」


確かにヤベぇな…シスコンどころかもうレズになってるぞ…。 


「お姉様!どうして逃げるの?あぁ~分かった。そこにいる人間が原因なんでしょ?待っててね?今排除するから─」


ん?気のせいかな?なんか、危ない単語が聞こえた気が…


「ハルトッ!避けて!」


唐突にメフィアは俺の手を離す。


(ひでぇ!薄情者!)


「“デス・フレア”」 


後方からそんな単語が聞こえる。


(デス・フレア!?何そのヤバそうな魔法!?…チッ…)


俺は【アイテム・ボックス】から【リベリオン・ヴァルキュリア】を取り出し、そのまま回転斬りをする。

【反逆神】で魔法を斬り、そのまま勢いに乗って斬撃を放つ。


「─ッ!?」


しかし、エミリアはすんでの所で避ける。


「なんだ、避けたのか。…さぁて、攻撃してきたんだから、こっちもいいよな?」


俺はメフィアとエミリアの両方に言った。その言葉にメフィアは…

首を激しく上下に振っていた。


(…普通は止めるんじゃねえのか?)


その反応に苦笑しながら、エミリアと対峙する。


「…貴方、本当に人間?」


「あぁ、そのつもりたが?」 


その俺の発言を挑発ととったのか、エミリアは魔法を放ってくる。


「“ドラゴニック・インフェルノ”」


名前からしてヤバそうな魔法だ。…だが、【反逆神】の能力でその魔法は俺に届くことなく消え去る。


「どうした?それくらいか?」


「ッ!“デッド・ブラスト”、“ロスト・エンド”!」


エミリアは魔法を連続で放ってくるが、その魔法は、あっけなく斬られる。


「おいおい、まさかとは思うがもう終わりか?…お前ってあんまりたいしたことないな。」


「ちがっ…まだまだ行ける…!」


「へぇ、『まだまだイケる』か…。でもな、そんなに“絶頂”してたら頭ん中、快楽でいっぱいになって、快楽しか求めない『メス豚』に堕ちちまうぞ?(w)」


俺は屁理屈で煽る。 


「~~~ッ!」


…さすがに顔を真っ赤にしていた。そこで俺は以前アリスに言った、『女子に言ってはいけないランキングNo,1』を言う。


「…あっ、あ~、そのすまん…さすがにバカにしすぎた…それに元々イラついてるだろうし…」


「…え、は?」


エミリアは困惑しているようだった。目の前の男は何を言ってるのか、と。


「“生理”なんだよな。悪いな、イライラしてるのに更にイライラさせて。」 


「ッ!“魅了”」


俺の煽りに乗って【魅了】を使ってくる。


(さて、どうやってコイツと話なすかな…)


そんなことを考える内にエミリアは異変に気付いたようだ。


「…?なんで…『魅了』が、効かないの…?」


「それは、俺のステータスを視れば分かるんじゃないのか?」


俺にそう言われてはっとしたのか、すぐさま俺のステータスを視る。

そして、俺には敵わないと分かったのか、地面に膝をつけて、座り込む。

俺はエミリアの近くに寄り優しく話しかける。


「…さっきはごめんな。俺に勝てないと分からせる為にあんな挑発したんだ。」


俺は謝罪した。…あんなにヒドイ単語で煽ったんだ。許してもらえる訳がな─


「………い、…きに…っちゃっ…」


「…?なんか言ったか?」


彼女の口から微かに漏れた声に反応する。しかし、声が小さすぎて俺には聞こえなかった。なので改めて訊いた。


「もう一度言ってもらえるか?」


メフィアも気になったのか、こちらに歩って来ていた。

次の瞬間、エミリアがとんでもない発言をする。


「だから…お姉様より強い、“好きになっちゃった”…♡って言ったの。」


その発言に俺とメフィアは硬直する。


「えっと…どういうことだ?」 


俺が問い返すと、エミリアは、


「こういう事だよ。」


そう言って俺のことを押し倒し─

俺の唇に自身の唇を重ねてきた。


「ッ!?」


「エ、エミィ!?」


俺とメフィアは衝撃的な出来事に驚きを隠せないでいた。 


「………ちゅっ…じゅるっ」


「ッ!!!???」 


が、エミリアのキスは更にエスカレートし、舌を入れ始めディープキスに発展していた。


「私のハルトを取らないで!」 


頬を膨らませ、目元には涙を浮かばせたメフィアが叫んだ。

その直後、エミリアはキスをやめ、俺から唇を離した。


「…ダメ?」


「ダメに決まってるでしょ!というか、なんでハルトの事を好きになってるの!?」


それは、当然の疑問だ。俺も気になる。


「なんでって、お姉様よりも強いから。私は強い人がタイプなの。」


エミリアの言葉を聞いて理解した。


(うん?待てよ…なんだか、嫌な予感が…) 


「ハルトもハルトだよね?なんでずっと終わるまでキスしたままだったの…?」


柔らかな微笑とは裏腹にメフィアの顔には影が落ちていた…。


「そ、れは…」 


(ヤバい!全っ然言い訳が思いつかない!ど、どうすれば…)


「あ、あぁ…なんか疲れたなぁ。どっか休める家とか無いかなぁ…(チラッ)」 


「…ここから、すぐそこの崖の下に私達の別荘があるわ。そこは魔法で隠してあるから、綺麗なままのはずよ。」


「じゃあ、そこに─「ハルト?」…え?な、何?」 


『行こうぜ!』と、言おうとしたらメフィアに遮られる。嫌な予感しかしない…


「そこに行ったら分かってるよね?」


にこぉ、とメフィアは微笑んでいた…もちろん顔に影を落としながら。


* * *


「ねぇ、お兄様♪私とお姉様、どっちが好き?」


「………パス。」


「は?何言ってるのハルト?今すぐ答えを言いなさい。」 


俺は現在、詰んでいた。


メフィアに連れられ、別荘に来てすぐに食堂の席に座らされ、二人に問い詰められていた。

いや、問い詰められているのは実質…というか事実メフィアだけなのだが…。 


(どうすればいいんだ…おっ、そうだ!こう言えば…)


「…答えられない」


「…どうして?」


額に青筋を浮かばせながらメフィアは訊く。

それに対し、俺は─


「…だって、二人は瓜二つだ。なのにどっちかを選んだら…どちらかを否定してしまうのと同じだからだ。そんなことになるのは嫌だ…。だから選ばない!」


(きれい事を並べただけの言葉だが…どうだ…?)


俺は恐る恐る、メフィア達を見る。二人は…

顔を真っ赤にしていた。


「…?」


(まさか…照れたのか!?)


俺はそれに驚きを隠せないでいた。


「そ、そうよね。決めたわ。ねぇ、エミィ。」


「なに?お姉様」


「ハルトを“私達の物”にしない?」


(…は?ちょ、ちょい待て。今、なんて言ったんだ…?『私達の物にしない?』ということは…)


「いい考え!うん、私もそうする!」


「じゃあ、今からヤることは当然分かるわよね?エミィ。」


「ええ、お姉様。…ヤるんだよね?」


「分かってるじゃない。さぁ、捕まえるよ♪」


二人が席を立ち上がりゆっくりと近づいてきた。

本能が叫ぶ。ここから、逃げろと。

俺はその本能に従い、席を立ち上がる。しかし、メフィア達の方が一足早かった。


ガシッ。


左右から腕を掴まれる。


「あら?どこに行こうというの?ハルト。」


「そうだよ、お兄様。」


二人の柔らかな微笑みに俺は苦笑を浮かべるしかなかった…


「えっと…その、落ち着こうか?」


せめてもの抵抗としてメフィア達を落ち着かせようとする。しかし…


「止めようっていう魂胆かしら?だったら残念、私達落ち着いてるから♪」


(あっ…終わった。)


「さぁ、お兄様。覚悟してくださいっ♪」


その後、乱交パーティーが繰り広げられた…。

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