第7話 3人で調理実習です こぼれ話

 調理実習も終わり、家庭科室から教室へと戻る。

そのままの流れで、同じグループ3人で喋りながら戻る人がほとんどだった。

刹那秀登は少し用事があるということで、友田優子と矢田玲子の二人で会話しながら戻っていた。


「ふっふ~~ん! どうどう? 刹那くんカッコよかったでしょ~~」


「矢田ちゃん、それよりも喋り方がさっきから子供っぽくなってるよ?」


「刹那くんと優子ちゃんの前だけだから大丈夫だもん!」


「……そっか」


 素直な言葉で自分のことを信用していると言われたような気がして、照れて顔が熱くなる。

照れくさくなってしまい、つい返事がそっくなくなってしまうが、そんな自分を見透かしているように、無邪気な顔で笑っている。

自分といないときの彼女と今の彼女が、同一人物だとは思えないほどの変わりようだった。

その態度の変化も信用の表れなのかもしれない。


「まぁ、見た感じ矢田ちゃんのこと大切に思っているのはわかったよ」


 そう一言いうと嬉しそうにはしゃぎ始める。

よっぽどうれしいのか両腕を振ったり両頬を手で押さえたりしている。


「でも矢田ちゃんのことだから、わたしを食べて?(自分の血肉を料理に入れて)的なことをするかと思ったよ」


 半ば冗談で笑いながら言う。

しかし、自分が思っていた返答とは違う形で帰ってきた。


「食べてほしくなったら直接食べてもらうから大丈夫!(血肉的な意味で)」


「直接食べたもらうの!?(R18的な意味で)」


 先ほどまで子供っぽい言動をとっていた人から、大人な内容の発言。

あまりの落差に言葉が詰まる。


「(また怪我をしたらなめてくれるかしら?)」


「(矢田ちゃんがベットの上で私を食べて♡ 状態!?)」


 二人は『食べて』という言葉を頭に浮かべるが、浮かべた妄想の内容が全く違うものになってしまう。


「や、矢田ちゃん、さっきの話、詳しく……」


 先ほどの話を問いただそうと話を続けようとする。

しかし、タイミングが悪く刹那秀登がその場に姿を現す。


「矢田さん、先生がなんか話があるって呼んでたよ?」


「え!? わかった、いってくるね!」


 二人は短く言葉を交わすと、矢田玲子はその場から足早に去ってしまう。

その場に二人だけ取り残されてしまう。


「(矢田ちゃんの友達の友田さんだっけ? さっきの授業中あんまり話せなかったし、教室に戻るまでに少しでも話して仲良くなれたらいいなぁ)」


 そんなことを考えながら話しかけるが、


「友田さ……」


「ケダモノ……!」


「えぇ!?」


 そう一言いうと友田優子は足早に去ってしまう。

その場には刹那秀登ただ一人が取り残されてしまう。


「(僕、そんなにいやらしい顔してたのかな?)」


その心の問いかけに誰も答えるものはいなかったのだった。

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