第5話 3人で調理実習です①
皆さん初めまして。
矢田ちゃんの幼馴染の
小さいころ、いろいろあってふさぎ込んでいた矢田ちゃんが子供の頃みたいに元気になっています。
話を聞くと同じクラスの刹那くんとお付き合いすることになったみたいです。
「(不安しかない……!)」
矢田ちゃんは独占欲が昔から強く、そのせいで矢田ちゃんは感情をあまり表に出さなくなりました。
ある日、彼氏さんのことについて聞いてみたところ……
「え!? 刹那くんのことが聞きたいの? もーーしょうがないわねー。えっとね、えっとね、彼の好きなところはね、わたしのことなんでも受け入れてくれるし、すごっく優しくてね! それでね……」
すっごい上機嫌でのろけられたんですけど……。
ふさぎ込んで、感情を表に出さなくなった矢田ちゃんと180度違うんですけど。
いや? 元気になったのはうれしいんだけどね? それでも友達として心配になるのです……。
彼氏のほうが。
矢田ちゃん重たいから彼氏さん潰しちゃってるんじゃ……。
何とか確認できないかと思っていたらその機会は思ったより早く訪れました。
家庭科の授業の調理実習。
三人組のメンバーで行うことになり、矢田ちゃん、刹那くん、私の三人で授業を行うことになりました。
この授業で刹那くんのこと知れればいいんだけど。
「じゃあ、早速作ろうか。今回作るのはご飯、生姜焼き、みそ汁の三品だね。誰かやりたいのとかある?」
そう刹那くんが一言いうと矢田さんがすぐに手を上げながら返事をする。
「私、生姜焼きのほうを作るわ!」
「じゃぁ私はごはん炊いちゃうね」
「そうなると僕はみそ汁かな」
早々に役割分担が済むと各々自分の作業に取り掛かる。
矢田玲子は用意されている付け合わせの野菜をまな板に乗せ、包丁を取り出す。
しかし、なぜか野菜を切らず困ったかのようにじっとしていた。
「(うふふふふふ……この料理に私の血を入れれば、刹那くんの身体に私が混ざりあって……)」
そんなことを考え、持っている包丁で自分の指に手をかけようとするが、
「(やっぱり怖い! う~~、痛いのやだし……しょうがない、普通に作ろう)」
結局怖気づき、普通に食材を切り分ける。
お世辞にも手際はよくなく、たどたどしく作業を進めるが、
ザク
うっかり指を包丁で切ってしまう。
鋭い痛みが指に走り、声が漏れる。
その声にいち早く反応を示したのは刹那秀登であった。
慌てた様子でけがをした手を握る。
「矢田さん!? 大丈夫!?」
「急いで殺菌しないと……ど、どうしよう。!! そうだ!」
何かひらめいた様子で、意を決した様子の刹那。
そのまま切った指を口にくわえる。
「「…………」」
数秒見つめ合い慌てて指を離す。
「ご、ごめん慌てて! すぐに水で流そう!」
「う、うん」
「(なんだこれ……)」
二人で顔を赤くするカップルと置いてけぼりを食らっているもの。
ここから二人のいちゃつきは収まるどころか、さらに加速していく。
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