第168話 神格

(神の定義が解ってしまえば、恐れることはないな。)


コウスケは、大きく息を吸い込むように周囲のエネルギーを吸収しながら頭の中でイメージを完成させる。


―シン・スキル―「心呼吸」―

―シン・ユニークスキル―「精霊王」―


意識だけの存在がハッキリと形づくられていく。


『し、神界のエネルギーをスキルで吸収して、精神体の状態でも神界に干渉できる姿に変化した!?あ、あり得ないわッ!そ、そんなこと…、に、人間には不可能よッ!そ、それに、この空間では神以外のスキルや魔法が使用不可になっているはず…なぜ使えるの?そもそも、スキルをリセットしたのに、どういうことなの?』


(神なんて大袈裟にいっているけど、自然エネルギーをシステムによって運用している管理者に過ぎない。だから、既存のシステムに依存しない新たなシステムを構築してしまえば、あとはシステムのスペックと技術の差で勝負が決まるはず。)


『だ、黙っていないで質問に答えなさいッ!クソッ…、さっきからおかしいと思っていたけど、思考が読めないのも…なぜ?』


(すぐに仕留めたいけど、エネルギーが足りないな…。とりあえず、吸い取ってみるか。)


―新精霊術―

「スピリット・ステップ」―


コウスケは、動揺している女神に移動系の精霊術を使って接近すると、女神の鳩尾に両手で渾身の掌底打ちを放つ。


―新精霊術―「閃気・発剄」―


掌が女神の鳩尾に触れる瞬間、収縮させたエネルギーを爆発させる。


『ぐはぁぁぁッ!…


(まだだッ!)


さらに、悶絶する女神に追撃をかける。


―新精霊術―

「グリム・リーパー・チェーン」―


漆黒に染められた鎖を女神の身体に巻き付けると、鎖を通してエネルギーを吸収し始めた。


…うぎゃぁぁぁぁぁぁッ!神気が吸いとられるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!』


(問題なくエネルギーを吸いとれるな。これで、大技が使える。それにしても、ステータスは死ぬほど高いのに弱すぎる。ダメージを受けるたびにヒヨってちゃ、いくら強くてもダメだろ。)


コウスケは両手を前に出すと、吸収したエネルギーを使って周囲に5つの属性球をつくりだし、精霊秘術を発動させる。


(アイツの技だから使いたくないけど、これが今使える最大の技だッ!)


―新精霊秘術―

「パーフェクト・ノヴァ」―


5つの属性球が融合し、凄まじいエネルギーが女神を飲み込んでいく。


『な、なにが起こっているの?神であるこの私がガァァァァァァァァァァァァ……』


凄まじいエネルギーは女神を完全に飲み込むと膨張を止めて、内側に対する圧力を強め収縮していく。


「さようなら。」


………経験値を獲得しました………経験値はシン・ステータスシステムに流し込みます………


………レベルアップしました………


………シン・ユニークスキル「交換」を発動します。対象と「交換」したい物を1つ選択してください………


・「神格」

→神の領域に達するための資格。システム運用能力に上方補正。

・「神衣」

→全ステータス+1万

・神の滴

→10秒間無敵状態になる神の秘薬。

・交換しない


コウスケは「神格」を選択した。

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