第160話 いやだぁぁぁッ!

延々と続く戦い(しごき)を見ていることに耐えかねたアーチャーがブレイブに提案する。


『あ、あの旦那様…。我々は先に部屋に入って、捕らわれている者を解放してきて良いですか?』


ブレイブは、アーチャーに視線を移すと、少し考えてから許可を出す。


『フム。コウスケ様の任務遂行は優先せねばなるまイ。良シッ!部隊を連れテ、捕らわれている者達を解放するのダッ!アーチャー、ランサー、任せたゾッ!俺は、この闇落ちの精霊を元に戻す任務を遂行する。』


『『はいッ!それでは行って参りますッ!』』


アーチャー達は、逃げるように部屋に入って行った。


残されたブレイブは、からくり武者達の様子をみるとため息をついた。


『さテ、やはり闇落ちした状態では複雑な思考が出来ないからカ、歯応えがないナ。青い方に至っては、動くことすら出来ていない。闇落ちした方が強いと思ったのだが違ったのだナ。そういうことなラ、早く正気に戻して本気の状態になってもらうとするカ…。』


ブレイブは両手に持った聖剣を十字に交差させると周囲に浮かんだ剣もペアをつくり十文字に交差し力を練り始めた。


赤色のからくり武者は、その隙を突こうとしたが、守るべきか攻めるべきかの思考が交差してしまい二の足を踏んでしまっていた。


そして、ブレイブの聖剣を使った渾身の一撃の準備が整った。


『聖剣奥義ーグランド・クロスー』


ブレイブから聖なる十字の光が放たれた。


…光はやがて周囲を包み込む…


…!!!カァッ!!!…



からくり武者達の視界が真っ白になり、次第に視界が戻ってくると、目の前が真っ暗になっていた。


『な、何が起こっていたのだ!?なぜ、視界が暗い!?…ッ!排除命令が消えている!?拙者は自由になったのかッ!』


『アカ…。自由になったのはいいが…俺達…大根みてぇに地面に刺さってるんじゃねぇのか?』


『…アオ。久しぶりにお主の声を聞いたな。お主も待機命令が解除されたのだな…。』


『ああ…。こんな形で解除されるとは夢にも思わなかったけどな…。』


『ふふっ。そうだな。』


『ははっ。何はともあれ、結果オーライってことだな。』


からくり武者達が笑い合っていると、突然、二人の足が何者かに掴まれると、勢い良く地面から引き抜かれ天に投げ出された。


『何を笑っていル?…うん?青色の方は動けるようになったのか?ウムッ!二人がかりでくれバ、良い戦いが出来るかもしれないナッ!さぁッ!お前達の輝きを魅せてくレッ!』


からくり武者達は、お互いの表情を確認すると頷き合った。


『アオッ!行くぞッ!』


…武技―空飛―…

…精霊術―エアロウォーク―…


『おうよッ!アカッ!行くぞッ!』


…武技―空飛―…

…精霊術―エアロウォーク―…


からくり武者達は、移動系の技を発動すると、


…逃走を図った…


しかし、まわりこまれてしまった…。


『近距離攻撃が得意な俺から距離をとって、遠距離から攻撃する作戦カッ!ウムッ!悪くない作戦ダッ!だガ、そう簡単に距離はとらせんぞッ!』


『『……………………………………………


…………いやだぁぁぁぁぁッ!』』


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る