第146話 閑話 元精霊王2

『へぇ~♪ここがランクエラーだべすか~。ってッ!ここ、ランクエラーから結構離れた森の中だべすぅぅぅぅッ!』


喚び出した途端、テレポートモスキート(ジン)が抗議し始めた。


『蚊の姿で騒がないでくれる?っていうか、その蚊に憑依するときだけ、しゃべり方変えるのやめてくんない?』


『この蚊…、自我が強すぎて完全にコントロールできないんだべす…。…ってッ!わをこんなところで喚び出した理由を説明するだべすッ!』


『ダンジョン付近には転移対策が念入りに施されているんだよ~ん☆それにしても、あのダンジョンは異常だね☆精霊以外は、誰も中に入れないようになってる☆ダンジョンマスターは精霊なのかもしれないね~☆』


『心配になってきただべす…。ユビタスは精霊にメチャクチャ嫌われてるから、出会った途端、殺意マックスで襲ってくるんじゃないだべすか?』


…はぁ、この“だべす”が鼻につくんだよな…


『大丈夫、大丈夫☆なんたって僕は精霊王だからね☆精霊の本能で基本精霊王には逆らえないようになってるから大丈夫☆』


『ふ~ん。そんなもんだべすか~。』


『さぁッ!無駄口叩いてないで行くよッ!僕のユニークスキルで一気に潜入するよッ!ちゃんと僕に引っ付いてるんだよ☆さぁ、しゅっぱ~つ☆』


『は~いだべす。』


…はぁ、いい加減、この“だべす”に馴れないとダメだな…



ジンは、ダンジョンに潜入してすぐに異常性に気づいた。


『ユビタス…。わは半分精霊のテレポートモスキートに憑依して本当に良かったと思ってるだべす。ここのダンジョンは“精霊以外”に対するセキュリティが異常に厳しいだべす。本体で来てたら、潜入した瞬間に気づかれているだべす。』


『ふ~ん☆そんなもんかな☆あそこで土竜ドラゴンが農作業してる光景の方が異常だと思うけどね☆まぁ僕はダンジョン壁でも何でもすり抜けることができるからセキュリティなんて関係ないけどね☆感謝してよねぇ~☆僕のお陰で、こんなに簡単に潜入できるんだから☆』


『ユビタスが強引に連れてきたんだべすッ!』


『あ☆見て☆見て☆あそこでピクニックシート広げて、なんか食べてる奴らいるよ☆』


『あ、あれは、団子!?この世界にあっただべすか?…ッ!?黒目黒髪の子供!?異世界勇者だべすかッ!?』


『なるほどね☆なんとなく謎が解けてきたよ☆ジン☆良かったね☆アイツをどうにかすれば、すぐに終わるみたいだよ☆』


『アハハッ!そういうことかッ!な~んだ、心配して損しただべす。そんじゃ、ちょっとだけチョッカイかけてくるから 、後はよろしくだべす~。』


『あまり目立つことしないでね☆僕は、ここでもう少し観察してるから~☆』


『わかっただべすッ!サイレント(音魔法)ッ!「カモフラージュ(スキル)」ッ!』


テレポートモスキートは、魔法とスキルで羽音と姿を消すとピクニックシートに向かって飛び出した。


…相手の正体も分かったことだし、ジンには好きにさせてあげよう…

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