第143話 捕獲
(ユニークスキルに対抗できる能力があるのか、それともブレイブのように精神力で抑制しているか、特別なアイテムや魔法効果が付与されているのか、完全に分からないな。)
「あのオブジェを使えないのは残念だけど、別の方法を考えようか?」
シュタッ!
モンタが怒った表情で、コウスケの肩の上に飛び乗った。
『コウスケッ!騙されるなッ!ソイツは、“パラス”って偽名のヤツに操られてるぜッ!だから「マリオネット」の効果が完全に効いてねぇんだッ!そして、さっきの副音声の犯人はコイツだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!オイラに“芋王”なんて、おかしな名前つけやがってぇぇぇッ!』
テレポートモスキートは、モンタの頭の上をグルグル旋回し始めた。
『バレたか~。あぁ、このモスキートを殺しても俺っちを殺すことはできないから、そこんとこよろしくッ!それでさぁ、相談なんだけど…。』
「止まれ。」
コウスケが「マリオネット」で命令するとテレポートモスキートの動きが止まった。
(こちらのスキルも効いているようだな。)
『…チィッ!余計な会話はしないタイプかよッ!不気味なガキだぜッ!これ以上、情報は取れないか…。おいガキッ!せいぜいお山の大将でいろやッ!そのうち、俺っちがぶっ殺してやるからなッ!じゃあなッ!』
…おいおい、もうちょっとゆっくりしていけよ…
紅ゴブが壁に寄りかかって、格好いいポーズを決めていた。
モンタは、紅ゴブの頭の上に飛び乗り、仁王立ちでテレポートモスキートを指差した。
『おめぇッ!ひとんちに土足で上がり込んで、なんの落とし前もしねぇで帰るつもりかよッ!そんなことは、御天道様が許してもこのモンタ一味が許しちゃおかねぇぜッ!』
『そうだッ!そうだッ!』
(モンタ、紅ゴブ…。何処に向かってるんだよ…。)
『は~はっは~ッ!小動物とゴブリンが何が出来るって言うのさッ!そもそも、俺っちが何処にいるのか知ってんのか?ここから何百kmも離れた場所にいるんだぞッ!…もういいッ!お前らみたいな頭のイカれた連中と話してると頭がおかしくなるッ!じゃあなッ!ば~かッ!』
『待ちなッ!若旦那に支配権を完全に譲っちまって、本当にいいのかい?そのテレポートモスキートは、おめぇさんの居場所をわかってるんじゃねぇのかい?テレポートモスキートが確保された時点でおめぇは後手に回ったんじゃねぇのかい?』
『グッ!…チィッ!拠点は放棄するッ!それでイーブンだッ!またなッ!クソぉッ!』
直後、テレポートモスキートは一瞬意識を失い体勢を崩したが、すぐに復活して辺りをキョロキョロしだした。
(憑依を解いたか…。)
カオスなオブジェに併設されている「誅魂の社」の鳥居が神々しく輝き始めたかと思うと、白い靄のようなものを引き寄せ始めた。
…うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!…
白い靄のようなものは鳥居をくぐった瞬間、カオスなオブジェの中に移動していた。
(…テレポートモスキートに憑依していた思念体の捕獲は完了した。鳥居は、霊体系を引き寄せてカオスオブジェに送り込む装置に魔改造されたけど、思念体にも有効みたいだな。)
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