第142話 モスキート

…ユニークスキル「マリオネット」を発動します…


…リストから“操る”対象を選択してください…


コウスケは、“テレポートモスキート”を選択して、目の前に呼び寄せると小さな蚊が姿を現した。


(これが元精霊と一緒に侵入したヤツか…。知性はあるかな?とりあえず、話ができるか試してみよう!)


「知性はあるの?」


『もっちろん、あるべやッ!わは魔王“パラス”様の眷属の天才テレポートモスキート“ブラック・サンダー・クロニクル・ローリング・サンダー・プラス・ダブル・サンダー”だすぅッ!わは、文字通り、命をかけて“パラス”様にダンジョンコアを届けるために精霊王様と協力して、このダンジョンに乗り込んだんだすぅッ!“パラス”様と精霊王は、とっても仲良しなんだすぅッ!』


(キャラが強い…。名前も長いし…。サンダー3つ入ってるし…。聞いてないのにペラペラ喋りだすし…。)


「それで、ダンジョンコアは見つかったの?」


『見つからなかっただすぅッ!このダンジョンおかしいだすぅッ!“スペアコア”なんてモノはあるのに、肝心のダンジョンコアは無いだすぅッ!…うん?…おめの隣にいるイケメンからダンジョンコアの臭いがすっどッ!まさか、おめがダンジョンコアけ?うん?聖剣の臭いもすっどッ!おめ、一体なにもんだ?おいぃッ!』


(また、使い捨てキャラが現れたか…。操られてるのに自我を保ってるし、ダミアンやクロンの正体まで見破るとは…。これでお喋りじゃなければ、かなり優秀な斥候かもしれない…。お喋りじゃなければ…。)


『フハハ。面白いヤツじゃ。のう、サンダー。あのオブジェの中に“パラス”とやらを転移させることは可能かのう?』


『楽勝で出来るだすぅッ!あと、サンダーじゃないだすぅッ!”ブラック・サンダー・クロニクル・ローリング・サンダー・プラス・ダブル・サンダー・ダッシュ・エクスプレス・コンドロイチン・サステナブル・うまむすめ”だすぅッ!ちゃんと名前を呼ばないと言うこときかないだすぅッ!』


(めんどくさいヤツだな…。最初と名前変わってるし…。しかし、あのオブジェは、後世に元精霊王の蛮行を伝えるためのものじゃ無くて、侵入者へのトラップだったのか。それなら、まだ許容できそう…。)


『フハハ。あのゴミの盟友とあれば、あれを使うべきじゃろう。あのオブジェは、あのゴミの蛮行を後世に残すための大切なものじゃ。本来、トラップになど使えないが、あのゴミの盟友となれば別じゃ。皆も納得してくれるじゃろう。コウスケッ!頼むぞッ!』


(やっぱり、後世に残すためのものだったのね…。)


「”ブラック・サンダー・クロニクル・ローリング・サンダー・プラス・ダブル・サンダー・エクスプレス・コンドロイチン・サステナブル・うまむすめ”、「命令」だ。あのオブジェの中にパラスを転移させろ。」


『ブッブッ~。名前を間違っただす~。ちゃんと言うだす~。』


『………。』


(『………。』)


「”ブラック・サンダー・クロニクル・ローリング・サンダー・プラス・ダブル・サンダー・ダッシュ・エクスプレス・コンドロイチン・サステナブル・うまむすめ”、「命令」だ。あのオブジェの中にパラスを転移させろ。」


『嫌だすぅッ!』


(…嫌なんかい…。)

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