第141話 カオスのオブジェ

【…新精霊王が華麗に美しく聡明に倒した天下の大裏切り者で足の臭いを凝縮した嫌悪の塊のようなゴミ…】


看板が掲げられ、水コーティングされ、灼熱の炎で熱せられ、収束光を当てられ、風結界と雷鎖で守られ、分厚い硝子の豪華な装飾が施された球体型の水槽が出来上がっていた。


水槽の中で延々と元精霊王がミキサーされている姿を見て、精霊達は皆満足そうに頷いていた。


(カオスのオブジェ…ここに現る…。)



………器に対して既定値を超える経験値を獲得しました………溢れた経験値を使用してレベルアップシステムを次のステージに移行します………


………レベルアップしました………


………ユニークスキル「交換」を発動します。対象と「交換」したい物を1つ選択してください………


・ユニークスキル「透過」

→あらゆる物体をすり抜ける。すり抜けている間は攻撃できない。

・詐術スキルlevel:Max

・精霊王の武具(剣、楯、鎧、兜、ブーツ)

・ステータスオーブ(魔力+3000)

・交換しない


(詐術スキルレベルMax…。)


コウスケは、ユニークスキル「透過」を選択した。



ユニークスキル「交換」の発動エフェクトを見た人化したクロンがゆっくりと近づき、コウスケと向かい合った。


『コウスケ…。殺ったか…?』


(ずっと恨んでいた相手だから、感慨深いものがあるのかもな…。)


「うん。アイツはね。」


クロンは俯いたまま、暫く震えていた。


『…そうか。』


(ユキヒラとかいう人のことを思い出しているのかな。)


クロンは、顔をあげるとスッキリした表情でニッコリ笑った。


『フハハッ!年をとるといかんのう。追うと見つからなくて、追うのをやめたらあっさり見つかって呆気なく終るとは、人生とは存外そんなものなのかもしれんのう…。…ところで、アイツと一緒に入り込んで、コソコソとダンジョンコアを探しているヤツはどうするんじゃ?』


「もう「マリオネット」のリストに入れてあるから、色々聞いてみようかと思っているんだけど、一緒に聞く?」


『フハハ。仕事が早いのう。もちろん、参加させてもらおう。…それで、ひとつ頼みがあるのだが…。』


「なに?」


『………………………………………………………………………あのオブジェを後世まで残してくれぃッ!!!!!!!!』



(………………………………………。

あの…カオスなオブジェを……………………後世に残すの!?)

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