第129話 献上品

コウスケは、献上?されたユニークスキルの検証をするため、色々な物を色々な方法で試し切りしていた。


(ヤンキー風女のユニークスキルは「切断」か。攻撃全般に「切断」の効果を付与する能力。地味だけど、かなり有用だな。ちゃんと特性を理解して使われていたら、暗黒空間から脱出されていたかもしれないな。初級風魔法でゲンさんの右腕を切り飛ばした時にも発動させていたし、組み合わせ次第では空間も切れる。そして、何より料理にも使えるところが凄く良い。どんな食材でも、千切り・みじん切り・超薄切りが簡単にできる。一番嬉しいのは、この世界の貝類や甲殻類はとんでもなく固いから、殻を簡単に剥けるようになったことだな。)


“よ、与王様、う、嬉しそうですね。”


「うん。よく切れる包丁は料理の幅を広げてくれるからね。」


“よ、与王様が嬉しいと、お、俺も嬉しいです。”


「ありがとう。グリードは、”切断”を使った感想はどう?」


“は、はい。お、俺の場合は、カ、カラダの周りに膜みたいなものが張ったような感覚になって、き、切れ味が上がって膜の形状が自由に変えられるようになったイメージです。お、恐らくですが、し、使用する武器によって、そ、それぞれの切断に特化した能力が向上すると思われます。お、俺は、ど、どんな食材でも調理できるような方向に特化したんだと思います。”


(グリードは、身も心も包丁になりつつあるのかな…。責任を感じてしまうけど、本人も嬉しそうだし良しとするか。)



次に、優等生風男から献上?されたユニークスキルの検証を始める。


…ユニークスキル「箱庭」を発動します…


…創造する箱庭を選択してください…


・避難所(必要な素材:鉄1トン、木材1トン)

・茶室(必要な素材:木材10トン)

・ログハウス(必要な素材:木材100トン)

・転移ポータル(必要な素材:転移石100個、ミスリル1トン)


ユニークスキル「箱庭」を発動すると、目の前に透明なスクリーンが現れた。


(スマホの箱庭ゲームみたいな管理画面だな…。試しに、鉄1トンと木材1トンを入れてみるか。)


次元収納から鉄1トンと木材1トンを取り出し、スクリーンに近づけると一瞬で吸い込まれた。


…避難所創造に必要な素材が集まりました…


…避難所を創造しますか?(はい/いいえ)…


“はい”を選択すると、コウスケの人差し指に指輪が装着された。


(なるほど、この指輪に必要な魔力を流すと箱庭を設置出来るんだな。)


コウスケは、人差し指の指輪に魔力を流すと木製の扉が現れた。


扉に触れると、指輪が輝き鍵が外れる音が鳴り、扉が開いた。


(指輪は鍵の役割も果たすのか。)


中に入ってみると、木材と鉄で造られた広さ20畳程の天井の低い部屋が広がっていた。


(優等生風男はこの空間を使っていたのか。素材次第で色々な箱庭が創れるとは…。ヤンキー風女といい、ちゃんとした使い方をしていれば、もう少し違った未来があったのにな。)

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