第113話 陸なのに海底龍
天空龍を倒した後、白はホーリードラゴンから聖帝龍、黒はシャドウドラゴンから影帝龍に進化した。
白と黒は、更に種族スキル「龍脈管理」を新たに覚え、人間界と魔界の中間にある大規模な龍脈の支配権を継承したようだった。
コウスケは、新たに獲得した龍脈を独自のシステムに組み込み、より効率的にヒスイが世界の調律を行えるようにハッキングモンスターを使いながらテリトリーを拡大していった。
そのおかげで、ランクエラーを中心に緑が少しずつ力を取り戻していった。
そんな中、白の背中に乗ってコウスケはある食材を探して空の旅をしていた。
「う~ん。この世界に“海”は無いのかなぁ。どこの国でも売っている世界地図を見ても海らしきエリアがないんだよね。」
肩に乗っているモンタが木の実を食べながら、不思議そうな表情で問いかける。
『塩水でできた巨大な湖かぁ。聞いたことねぇな。こんだけ探しても無いなら、諦めた方がいいんじゃねえの?』
コウスケを背中に乗せている白も同意する。
『そうですね。主様の熱意には感服するばかりですが、これだけ探しても無いとなると、別の手段を考えてみるべきなのかも知れませんね。』
(ランクエラーに疑似海を造ったものの、マグロなどの海の魚介類の再現が難しいんだよな。…うん?なんだ?あの場所は?こんな暖かいところで雪?)
コウスケは雪が積もっているようにみえる一帯を発見した。
降りて確認してみると雪が積もったように見えるものは塩だった。
「雪原エリアかと思ったら大規模な塩湖?塩湖があるということは、海があったという可能性がある。なぜこんな広範囲に…まさか、龍脈の力が龍族に独占されていたり、精霊の力が弱まっていた影響で乾上がったの?」
…ビビーッ…
ユニークスキル「超直感」が反応した。
コウスケは、音の種類や音量から対策を練る。
「下からの攻撃の兆候有り。脅威度は5くらい。各員準備を開始。」
コウスケから警告を受けると、白とモンタは迎撃準備に入る。
…龍技“光牙龍操槍”…
白は、龍技を使い周囲に光輝く無数の槍を生み出した。
(ドラゴニックオーラを具現化させる龍版の武技か。俺にも使えるかな。)
…セイクリッドエンチャント(神聖魔法…)
…イージス(結界魔法)…
モンタは、結界魔法と神聖魔法を組み合わせて白と同じ大きさの円形のバリアを展開した。
(モンタは、結界魔法レベルMaxのイージスを使えるようになったのか。大きさも強度も申し分ないな。)
二人の対応に感心していると地面から土竜のような巨大なドラゴンが飛び出した。
『おんどりゃぁぁぁッ!ここが海底龍様の縄張りと知っての狼藉かッ!死ねッ!…えっ…ガグフッ…いてぇ…いてぇよ…。』
土竜ドラゴンが右腕を振り上げた瞬間、白が生み出した無数の槍に貫かれていた。
『縄張りに入っただけでいきなり攻撃してくるとは野蛮な土竜ですね。しかも、ここ一帯から龍脈の力を一切感じません。恐らく、龍脈の源泉から直接エネルギーを吸っている愚か者がいるようです。まぁ、そこの土竜が言っていた海底龍とかいう者が犯人と思われますが。』
(人間を上回る環境破壊を引き起こすヤツがいるなんて…。しかも、陸なのに海底龍ってなんか違和感があるな。)
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