第109話 本気と書いてマジ
…ブレイブ・ランサー視点…
聖剣レプリカを右手と左手にそれぞれ装備したブレイブは、聖剣を解放する。
『-聖剣ダブル解放-』
周囲に50本の剣を出現させると、その周囲剣を操りながらトップスピードでグランドドラゴンの群れに飛び込んでいく。
その後ろに、フルプレートを着こんだ部下の“ランサー”が無言で付いてきており、その手には“憤怒”の大罪武器ラースが握られていた。
『…。』
ブレイブが群れに近づくと複数のドラゴンが一斉に襲いかかる。
ブレイブは、両腕を頭上で交差させ、力を練り始めた。
『ホウ。これがグランドドラゴンカ。いざ、参ルッ!』
そして、両腕を横に広げ力を解放する。
『武技―陰陽鬼翔八陣―』
周囲剣がオーラを纏い、円を描きながら発出されていく。
…ぎゅぎゃごぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…
オーラを纏った剣は断末魔を撒き散らしながら、ドラゴン達の頭に風穴を開けていく。
その光景を見たドラゴン達はブレイブを標的にするのを諦め、ランサーに襲いかかる。
『…。ラース。“怒り玉”だ。』
“ランサー殿。忘れてはおるまいな。活躍した暁には、我輩を忠王様に紹介していただく件を。”
『…。無論。』
ラースの切っ先に膨大なエネルギーが円形に蓄えられ空間が歪む。
『…。武技―五月雨突き―』
ランサーから長雨のごとく繰り出される強力な突きの連続が、ドラゴンの堅い皮膚を抵抗なく簡単に貫く。
ランサーは自分に向かってくる敵を蜂の巣にすると、次は様子をうかがっている特殊個体に向かって遠距離の武技を放つ。
『…。武技―剛嵐―』
回転をかけた強力な突きが螺旋状のオーラを生み出し、特殊個体の心臓を貫く。
“お見事。して、いつ我輩を忠王様に紹介していただけるのだろうか?”
『…。しつこい男は嫌われるぞ。次、いくぞ。』
“むぅ…。”
ランサーが問題なく戦えることを横目で確認しながら、ブレイブは速度を上げて突き進む。
『時折、特殊個体に遭遇するが通常種に毛の生えた程度の強さダ…。上位個体もしくはユニーク個体はいないのだろうカ。』
そう呟きながら、ドラゴン達を切り伏せていると強力な炎弾が目の前に飛び込んできた。
『森の中で炎など…自分の首を絞めているだけだというものヲ。所詮は獣か…。』
ブレイブは、目の前に魔法で水弾を生み出し、それに向かって剣を十文字に一閃した。
…ウォーターボム(水魔法)…
…武技―水流交差―…
『…ウォータークロスブレイク…』
ブレイブの斬撃は、水飛沫をあげながら炎弾を十字に切り裂いた。
そして、激しい水蒸気が発生し視界が悪くなったことを利用して、スキルと魔法を使い一気に炎弾を放った相手との距離を詰める。
…縮地スキル…
…神速スキル…
…疾風迅雷(風雷魔法)
『先ほど、コウスケ様との模擬戦でお教えいただいた技を披露してやろうッ!』
ブレイブは両腕の力を抜き、水の流れのような自然体で下段の構えをとる。
…ふぅ…
『武技ー飛燕ー……九十九連ッ!』
そして、速度に特化した最速の剣術武技-飛燕-を一呼吸のうちに99回放つことに成功した。
『むぅ…。周囲剣を使って99回が限界とは、まだまだダナ。』
炎弾を放った相手は、一瞬で身体中に深い傷を負い絶命した。
“ラ、ランサー殿。み、見間違えでなければ、ブレイブ殿はダブルショット系武技を使用せずに連続で武技を発動していたように見えたのだが…。”
『…。コウスケ様は周囲剣を使えば、あれの倍以上、ダブルショット系の武技を使わずに連続発動できる。』
“マジで?”
『…。本気と書いてマジ。』
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