第108話 羽トカゲ
…ブレイブ部隊…
ブレイブは自分の階層に戻ると部隊員を緊急召集した。
『これヨリ、このランクエラーに攻め込んできているドラゴンの皮を被った愚かなトカゲどもを殲滅スルッ!アーチャーッ!部隊を引き連れてグリフォンに騎乗し、空の羽トカゲどもを殲滅セヨッ!俺はランサーと一緒に羽なしトカゲを殲滅スルッ!』
『ハッ!』
…
…アーチャー視点…
アーチャーはブレイブの指示通り、グリフォンに騎乗し部隊を引き連れてウインドドラゴンの群れに向かって進軍していた。
『あれが羽トカゲか~。あの中にどの程度のボスがいるかが問題なんすよね~。』
アーチャーはウインドドラゴンを目視で確認出来る位置に到着すると弓を構えた。
…スキル「必中」発動…
…スキル「ダブルショット」発動…
…聖弓エメラルダ固有武技発動…
『…矢の雨を降らせよ…”アローレイン3”』
アーチャーは、聖弓エメラルダを上空に向けて魔力矢を放った。
そして、更に「ダブルショット」の効果でもう一度魔力矢を放った。
『…矢の雨を降らせよ…”アローレイン3”』
アーチャーは、上空待機型のアローレイン3を2回放つと部隊員に指示を出す。
『今のスピードだと約5分後に戦闘に突入する。弓兵と魔法へ兵は開戦直後に一斉攻撃できるよう準備をしておけッ!戦士隊は長槍を装備して遠距離攻撃の武技の準備をしておけッ!』
部隊員は日々の訓練通りに陣形を組ながら、攻撃準備を進めていく。
そして、遂に部隊の射程距離にドラゴン達が近づく。
『羽トカゲは、こちらを確認したにも関わらず真っ直ぐ向かってきたね~。っていうか、むしろスピードを上げてきたようにみえるっすね~。知能のないタイプのドラゴンか、何か隠し玉を持っているかどちらかっすね~。まぁ、こっちは作戦通りやるだけっすけどね~。…………いまだッ!―流星群―×2』
上空で待機していたアローレインは、アーチャーの合図により拡散し、その言葉通り雨のように夥しい量の魔力矢が降り注いだ。
更に「必中」の効果により、矢すべてがドラゴン1匹1匹に向かう。
『いまだッ!放てッ!』
アーチャーの合図で部隊員隊が次々に多種多様な遠距離攻撃を始める。
矢が雨のように降り注ぎ、風の刃が宙を舞い、炎が周囲を焼き焦がし、雷が鳴り、槍が空を切る。
…ぎゅぎゃごぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…
ドラゴン達の断末魔が木霊し、次々と地面へ落下していく。
『あちらも陣形を組んでウインドブレスで対抗すれば良かったのに…。自分達がドラゴンだと驕ったか、ただのおバカさんかどちらかっすね~。…皆の者ッ!作戦変更ッ!このまま遠距離の攻撃継続ッ!アイテムや装備は惜しまず使用しろッ!』
アーチャーは、このまま遠距離攻撃を続ける作戦を選択し攻撃を続けていくと、ひときわ大きいドラゴンが現れた。
『アイツがボスっすかね~。良かった~。遠距離攻撃も効いているようだし、ここには旦那様の相手になるようなボスはいないみたいっすね~。』
アーチャーは安堵しながら、ボスに向けて攻撃を始める。
…スキル「ダブルショット」発動…
『武技―影縫い―
武技―スタンショット―』
ボスはアーチャーのスタンショットを右腕で払いのけようとしたが、右腕に当たった瞬間、動きが止まった。
さらに、右腕が上がったことで影縫いが右脇の影を射貫くと右腕の位置が固定された。
『あはは~。”スタンショット”は触るだけで動きが阻害されるから、手で払いのけるんじゃなくて回避するか魔法かブレスで打ち落とすかしないとダメっすよ~。』
アーチャーはその隙を逃さない。
…スキル「ダブルショット」発動…
『武技―サイドワインダー―
武技―曲射― っとッ!』
ボスはダメージ覚悟の力業で体の自由を取り戻し、ブレスで矢を打ち落とそうとするが、矢の軌道が変わり、ボスの目に突き刺さった。
…うぎゃぁぁぁぁぁぁ…
『あはは~。バカっすね~。同じ攻撃するわけないじゃないっすか~。あと、ダメっすよ。叫んでも次の攻撃は待ってくれないっすよ~。』
アーチャーは油断せずに攻撃を続ける。
…スキル「ダブルショット」発動…
『武技―影縫い―
武技―曲射―っとッ!』
ボスは叫びながら右腕を闇雲に振り回した。
しかし、”影縫い”が先程と同じ場所を射貫いた直後に、もう片方の目に矢が突き刺さった。
…うぎゃぁぁぁぁぁぁ…
『もうちょっと頑張ってくださいよ~。これじゃ、ただの的っすよ~。“お前の輝きを見せてみろッ!”なんちゃって~。次は、ダブルショットが適用されない特別な武技使っちゃうよ~。』
アーチャーは攻撃を続ける。
…スキル「必中」発動…
『武技―夢幻泡影―』
アーチャーの周囲に無数の矢が現れ、ボスに向かって発出された。
…シュッ…シュッ…シュッ……………
無数の矢が自分に向かって放たれたことを確認したボスは、渾身のブレスの準備を始めた。
『すぅぅぅ…。』
…ガァァァァァァァァァァッ!…
本気のブレスは、アーチャーの放った全ての矢を打ち落とした…よう見えた。
『惜しいっすね~。最初からそうやって本気出してれば、もっと良い勝負出来てたんすけどね~。』
打ち落とされた矢が、霧のように消え、代わりにボスの顎の逆鱗に深く突き刺さっていた。
…ぎゅぎゃごぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…
ボスの断末魔が響き渡る。
『本当に羽トカゲっすね~。知能のないドラゴンなんてワイバーンとさほど変わりないっすからね~。でも、生命力だけはあるッスら、確実に絶命するまでは手を抜かないッスよ~。』
アーチャーと部下達は、ドラゴン達が絶命するまで遠距離攻撃を続けるのだった。
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