第107話 基準

コウスケがブレイブと戦闘訓練をしていると、紅ゴブが大慌てでやって来た。


『若旦那ぁぁぁッ!大変でさぁッ!ドラゴンの大群がこっちに向かってきてるでがんすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。』


そういうと、紅ゴブはドラゴン達が向かってくる映像をコウスケに見せる。


(空にはウインドドラゴンが100体程度、陸にはグランドドラゴン100体程度か…。ブレイブ、そんな期待を込めた目で見ないでくれ。)


「相手も様子見なのかな。それじゃ、ブレイブ部隊にお願いしようかな?」


ブレイブは花が開いたような表情で答える。


『はイ!速やかに殲滅して参りマス!』


そう答えると、ブレイブは部隊の編成のため自分の階層に転移していった。


紅ゴブは心配そうにたずねる。


『大丈夫ッスか?相手がドラゴンであれば、白さんの方が適役だし、ブレイブさんに任せたって知ったら白さん落ち込むんじゃないでげすか?』


「心配ないよ。自分のことを龍神と名乗るくらいだから、あの程度で終わるわけがない。きっと、エルダードラゴンとかカイザードラゴンとかプラチナドラゴンとかリヴァイアサンとかバハムートとかヒュドラとか黄龍とか応龍とかレヴィアタンとかヨルムンガンドとか、凄いドラゴンの大群が後ろに控えているはずだから。」


紅ゴブが呆れながら答える。


『わ、若旦那ッ!そ、そんなモンの大群が来たら、世界が滅んじまいますよッ!』


コウスケは紅ゴブをペシペシ叩く。


「そんなものでこの広い世界が滅ぶわけないよ。今は精霊が力を取り戻してきているから、ドラゴンというだけで最強の時代は終わったんだよ。」


『そ、そんなもん、若旦那の周りの話だけですよッ!そもそも、世界中の精霊がここに集まってるでゲスから、他の地域には未だに精霊不在の土地が沢山あるんでゲスよッ!』


「それは精霊の力を軽視して精霊と決別する道を選んだこの世界のヒト達の方針だからなんとも言えないけど、少なくとも俺達が調べて導きだした基準ではドラゴンだけが特別ってことはないっていうことなだけだよ。」


『う~ん。そういわれると、なんか、深いッスね。そうでゲスね。基準なんて考え方一つでいくらでも変わるんすもんね。』


「そうだね。色々な考え方ができると色々な問題に対処しやすいと思うしね。それに、精霊は、大地や水をキレイにしたり、生き物の成長を促進させてくれたりもするから戦闘力だけで基準をつくっちゃいけないんだよね。」


『若旦那は”食”にはトコトンこだわるでゲスから、若旦那の基準には良い食材を生み出す環境を整えてくれる精霊や世界樹は欠かせないんでゲスね…。』

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