第12話 モンタ

『コウスケ!腹へった!!コウスケ!腹へった!!コウスケ!腹へった!!』


モンタは、寝ているコウスケの腹の上でジャンプしながら、朝ご飯を催促していた。


「ん?モンタ?もう朝なの?ユニはどこ?寝ている間に敵とかに襲撃されてない?」


『ダンジョンの中だから確実じゃないけど、オイラの腹時計だと朝だ。ユニはテント周辺につくった壁を改良してる。敵の襲撃は特に無かったみたいだぜ。さすがに、あの壁を突破できる奴はそうそういないと思うぜ。あの姉ちゃん、ユニークスキル持ちだろ?直接精霊に“お願い”できるなんて、聞いたことねえぜ。コウスケも普通じゃないけどな。』


(腹時計って…、単にお腹が減ったってことね。しかし、ユニには感謝しないとな。彼女がいなかったら、ここまで安全にいかなかった。)


「ところで、モンタは他人のステータスがみえるの?昨日、森の中で“森の英雄”って呟いてたでしょ?俺のステータスを見たんじゃないの?」


モンタは驚いた後に、シュンとした表情になった。


『…オイラには「鑑定」っていうスキルがあるんだ。しかも、レベルがMax(Lv:10)なんだ。レベルMaxは、ユニークスキルと同格に扱われているんだ。このスキルのせいで国中のいろんな奴等に狙われてて、ようやくあの森に逃げ込んで、テイムした仲間と静かに暮らし始めたところだったんだ。』


(モンタも王宮のあいつらみたいなのに追われて苦労したんだな…。)


『オイラだけみんなのステータスを知ってるのはずるいから、オイラのも見せるよ。……ステータス・フルオープン……』


モンタ

148歳

LV:46 種族:ワイズ・セット

状態:正常

HP:78/78 MP:1500/1500

攻撃:25

防御:35

速さ:120

魔法攻撃:250

魔法防御:300

【通常スキル】

鑑定Lv:10Max

念動力Lv:5

テイムLv:5

千里眼Lv:3

【称号】

鑑定マシーン

→鑑定レベルが上がり易くなる

鑑定王

→鑑定をMP消費無しに使用できる


(完全に魔法特化型のステータスだな。森で俺達を追いかけてきた時に、空を飛んでいたようにみえたのはスキルだったのか。…って、148歳!俺よりもだいぶ年上じゃないか!?)


「鑑定のレベルはどうやって上げたの?あと、鑑定を防ぐ方法はあるの?」


『鑑定レベルは、3歳の時に人間に捕まってから100年以上毎日鑑定させられた結果だな。昼夜問わずやらされたぜ。鑑定を防ぐ方法は、鑑定阻害系のスキルを取得するか、鑑定阻害のアイテムを装備すれば大丈夫だ。』


(俺よりも辛い人生じゃないか!冗談でも”鑑定マシーン”なんていじったら、本気で泣きそうだな。…もう少し優しくしてあげよう。)


「よし!じゃあ、まずはユニのところに行こう!それから、朝ご飯をつくろうか。昨日と同じ物だけど我慢してね。」


『わ~い。オイラ、コウスケの料理好き~。』



コウスケとモンタがテントから出ると、ユニが土の精霊に“お願い”をして、壁の改良をしていた。壁は2重になっており、内側の壁は天井にまで及び、もはや”箱”になっていた。


「コウスケ様、おはようございます。小動物が睡眠の邪魔などをしませんでしたか?」


『オイラは、そんなことしないぞ!それに、オイラの名前はモンタだ!』


(…モンタは一生、名前を呼んでもらえないかもな…)


「ユニ、おはよう。こんな立派な壁をつくってくれてありがとう。これから朝ごはん作るから、少し待っててね。疲れたらテントで自由に休んでいいから。」


ユニは、長い耳を上下させて頷いた。

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