第11話 まともな食事

『はぁ、はぁ、はぁ…やっと止まった。オイラの移動法は、MP沢山使うから疲れるんだよ!』


「コウスケ様、ここがランクエラーです。」


「そうか。早速入ってみよう。≪ファイアーボール(火魔法Lv:1)≫」


コウスケは、威力を最小化したファイアーボールを頭上に展開して待機させた。


(ウィンドランスを連発してわかったけど、魔法の威力はある程度調整できるな。…込めすぎると暴発するけど…。)


「…スゴいです。通常、ダンジョンの暗いエリアは松明等を利用するのですが、ファイアーボールにそのような使い方があるなんて…。」


『ちょ…ちょっと!オイラを無視するなよ!』


「ただ、待機中は他の魔法が使えないし、ちょっとずつMPが減っていくから、実はあんまり使い勝手はよくないんだけどね。とりあえず、5層のセーフティゾーン目指して急ごう。早く休みたい。」


「はい!コウスケ様!1層から5層まではゴブリン族しか出ません。ボスはセーフティゾーンを進んだ先にありますので、強い敵に遭遇する心配はありません。」


「1層は暗くて道が狭い洞窟、2層から5層は広い色々な地形のフィールドでいいんだよね。戦闘はなるべく避けてセーフティゾーンを目指すよ。」


『…こいつらマジか…。』



……ランクエラーダンジョン5層セーフティゾーン……


「≪魔法のテント≫起動!」


コウスケは、装備した指輪を起動させると、三角の小さなテントが目の前に現れた。


(なにこれ!ショボッ!でも、魔法のテントだから、中に何か仕掛けがあるはず。)


『スゴいぞ!コウスケ!このテント、中が空間拡張されていて、超広いぞ!おぉお!超快適!』


(こいつ、無視され過ぎて開き直ったな…。睡眠不足と疲労空腹でフラフラだから、引き続き無視しよう!)


「……。ユニ、魔法のテントの周りに敵が侵入しないように壁をつくってくれる?俺は、簡単だけど料理をつくるから。」


「コウスケ様の手料理…。壁づくり頑張ります!」


コウスケは、魔法のテントの入口の前に石をくんで竈をつくり、路の途中で採取した植物と倒したウサギと「交換」した干し肉を使って、具沢山のスープとフルーツの盛り合わせを作った。


(鍋と食器を、竹やココナッツに似た植物で代用してるから、金属製の調理器具を揃えないとな。)


「ご飯できたよ~!ユニはこっち、モンタはこっちに座って。」


ユニと小動物が走ってやって来て、用意された席に座った。


「それじぁ、食べよう!」


「「『いただきます。』」」


(変なやり取りするのめんどくさいから、小動物君用に木の実とフルーツを用意してみたけど、美味しそうに食べてるから問題ないな。あ~、それにしても、この世界に来てはじめてまともな食事にありつける。王宮では、召喚されてすぐに尋問部屋に閉じ込められて、数日間後に追放だったからな。尋問部屋で上手く毒のナイフを手入れたのはラッキーだったけど…。)


「コウスケ様の作ったスープ美味しいです。干し肉からでた旨味が最高です!こんなに温かくて美味しい料理は初めてです。」


ユニが長い耳を上下させて、噛み締めるように食事を進める。


『コウスケ!オイラの大好きな木の実ありがとな!あと、オイラにもスープくれ。』


小動物は、クルミのような木の実を器用に食べながら、スープの鍋を指差した。


「小動物は大人しく、その辺の雑草でも食べてなさい。コウスケ様の手料理を食べるなんて100年早いです。」


『小動物って言うな、オイラにはモンタっていう立派な名前があるんだい!』


(モンタっていうのか…名前で呼んでほしかったら始めに名乗れよ……。……眠くて限界かも…身体は5歳だから睡魔には勝てないのかも…)


「ユニ!モンタ!もう寝よう…」


「はい!」『うん!』


コウスケは、みんなに生活魔法“清潔”をかけて、魔法のテントに潜り込むと泥のように眠った…。



コウスケ=ナギ

5歳(40歳)

LV:8 職業:無職

状態:正常

HP:500/500 MP:650/650

攻撃:180

防御:190

速さ:200

魔法攻撃:280

魔法防御:290

【通常スキル】

火魔法Lv:2

水魔法Lv:1

風魔法Lv:2

土魔法Lv:1

生活魔法Lv:5

短剣術Lv:2

剣術Lv:2

悪食Lv:7

疾走Lv:2

気配遮断Lv:3

気配察知Lv:2

苦痛耐性Lv:5

病気耐性Lv:6

毒耐性Lv:2

【ユニークスキル】

異世界言語

交換

【称号】

絶望を救いし者

森の英雄

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