第9話 ボーナスモンスター

「はい、生活魔法でつくった水だけどよければ飲んで。それで、距離だけど、だいたい半分くらいの地点までは進めたかな?」


コウスケは、生活魔法でつくった水を竹のような植物で作ったコップに入れて、ユニに手渡した。


「あっ、ありがとうございます!!おっしゃる通り半分くらい進んだかと思います。私の索敵スキルとコウスケ様の気配察知スキルをつかえば、森の中でも敵に遭遇することなく、全力疾走した速度で進めますので、食材を採取しながらでも目的地には、夜までに余裕で着けると思います。」


(生活魔法はかなり役に立つな。生活魔法はLv:1で“火起こし”、Lv:2で“飲み水”、Lv:3で”清潔”、Lv:4で“応急手当”、Lv:5で“食料判定”だから、もはやサバイバル魔法と呼んでもいいのではないかというレベルだ。“応急手当”もほぼ回復魔法(ユニに試した)だし、特に”食料判定”は素晴らしい!この森の植物は食べれないヤツが多いから、食料の採取には欠かせないスキルだ。)


ちなみに、コウスケは悪食スキルがあるからといって、食べられないと判定された木の実などをいくつか食べてみたが、味が悪く、HPが削られるなどのバッドステータスになってしまうこともあった。


(悪食スキル万能説崩れる…)


「コウスケ様ッ!100m 程先に大型のモンスターを発見しました。相手も索敵スキルを所持しているらしく。一直線にこちらに向かってきています。いかがいたしますか?」


(索敵スキル持ちか…厄介だな。索敵スキルの有用性はユニをみていてよくわかるから、場当たり的な対応だと、足元をすくわれる可能性がある。ここは迎え撃つか!)


「よし!準備をして迎え撃つぞ!ユニは精霊魔法でデカイ落とし穴を掘ったら、木の上に隠れてくれ!俺は気配察知と気配遮断を使いながら落とし穴に誘導する!」


「はい!≪土の精霊≫さん!」


(ユニが精霊を召喚したみたいだが、俺には何もみえない…。きっと精霊眼がないと姿は見えないんだな。)


「ここに直径5m深さ10mの落とし穴をつくってください。」


コウスケには見えないが、土の精霊は頷くと、言われた通りの落とし穴をつくった。


(ずいぶん具体的に指示するんだな。なんか想像していた精霊魔法と違う…。)


コウスケは知らなかった。ユニは、精霊魔法ではなく、ユニークスキル「精霊眼」で、精霊に直接“お願い”したのだ。ユニもまたユニークスキルを持った規格外の存在なのである。


「よし、俺も行くぞ!」


コウスケは、気配察知と気配遮断を使いながら、モンスターに気付かれずに視界にとらえることに成功した。


(熊の大型モンスターか…。あわよくば、この場で仕留めようと考えていたが、安全には倒せそうにないな。幸い、アイツの索敵スキルレベルでは俺の気配遮断は突破できていないみたいだから、作戦通りに行こう。)


≪ウィンドボール!(風魔法Lv:1)≫


『グガッ!?』


熊のモンスターは、後頭部に突然衝撃を受けて驚き戸惑った。今まで、意識の外から攻撃されたことがなかったためだ。


(うん?ウィンドボールをくらったら、怒ってこっち向かってくると思ったが、立ち尽くしてキョロキョロしてるぞ!?威力が弱かったか?じゃあ、最大でいくか!)


≪ウィンドランス!!(風魔法Lv:2)≫


『グガがァッ!』


再度、意識の外からの攻撃を受けたモンスターは、今度は背中を傷つけられた。経験したことがない攻撃を意識の外から受けて更なるパニック状態に陥った。産まれてから索敵スキルに依存しきっていたのが仇になり、思考停止してしまったのだ。


(なんだ?なぜ向かって来ない?罠か?でも、動かないなら、距離をキープしながら攻撃を続けて様子をみてみよう。)


≪ウィンドランス!!≫…≪ウィンドランス!!≫…≪ウィンドランス!!≫…≪ウィンドランス!!≫…≪ウィンドランス!!≫……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………


(MPをかなり消費したけど、もう虫の息たぞ…。なんだったんだ…?まさか、ボーナスモンスターか?)


……レベルアップしました……

……レベルアップしました……

……レベルアップしました……


………ユニークスキル「交換」を発動します。倒したフォレストマジックベア(亜種)の死体と「交換」したいものを1つ選択してください………


・索敵スキルLv:3

→スキルレベル×100m以内の生物の位置を把握できる。

・剛力スキルLv:5

→筋力がスキルレベル×10%増加する

・ちからの剣(攻撃+50)

・魔法のテント(指輪)

・HP回復ポーション(良)×5

・交換しない


「さすがボーナスモンスター!全体的に豪華だ。そして何より、今一番ほしいアイテムがあったぞ!」


コウスケは、魔法のテントを選択した。


死体は光の粒になって消えた。


コウスケ=ナギ

5歳(40歳)

LV:8 職業:無職

状態:正常

HP:500/500 MP:280/650

攻撃:180

防御:190

速さ:200

魔法攻撃:280

魔法防御:290

【通常スキル】

火魔法Lv:2

水魔法Lv:1

風魔法Lv:2

土魔法Lv:1

生活魔法Lv:5

短剣術Lv:2

剣術Lv:2

悪食Lv:7

疾走Lv:2

気配遮断Lv:3

気配察知Lv:2

苦痛耐性Lv:5

病気耐性Lv:6

毒耐性Lv:2

【ユニークスキル】

異世界言語

交換

【称号】

絶望を救いし者

森の英雄new!

→森の脅威を取り除いた者におくられる称号(森にいるとHPとMPの自然回復速度が上昇)

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