第6話 光の力

(さて…この人たちはどうしようか…早く決断しないとまたモンスターが集まってくるぞ。助けるような行動をしたけど、よく考えたら、5歳の身体でこの状況じゃあ何の役にもたたない。非情かもしれないけど、黙ってこの場を去ろう。)


コウスケは、木から降りると木の上から見つけた川辺に向かって歩きだした。


「待ってください!!!」


隻眼の耳の長い女奴隷が声をあげた。


(…確か…《病気持ち》と呼ばれていた人だよな…喋れたのか…)


「何か用ですか?」


女奴隷は、緊張しながら答える。


「…ここにいる人たちは、私を除いてみんな心が壊れています。私も《病気持ち》です。ゴブリン達のように、光の力でここにいるみんなを天に送っていただけませんか?」


(ユニークスキル「交換」が発動された時のエフェクトを光の力と誤解したのか。)


「残念ですが、あれは光の力ではありません。俺が持っているスキルの効果です。光の粒になりますが、その後にどこに行くかは、わかりません。」


「それでも構いません!あの光から女神様の力を感じました!是非ともお願いします!」


(う~ん…。毒で殺すのは心が痛むけど、こちらにもメリットがあるし、あの人達もモンスターに生きたまま食べられるよりはマシかもしれないな…。よし!)


「…分かりました。お受けします。あと、質問ですが、《病気持ち》とはなんですか?」


耳の長い女奴隷は、歓喜した後に、わずかに表情を曇らせた。


「…緑色と長い耳はゴブリンを象徴します。ゴブリンは多くの病気を運んできますので、このような特徴を持った人間は《病気持ち》と呼ばれ忌み嫌われています。」


(この世界の奴等の考えそうな話だ…。《病気持ち》と呼ばれているみたいだが、話の受け答えからいって、この人はまともそうだ。そういえば、まともな人に初めて会ったかも。)


「変なことを聞いてすみません。それでは早速はじめますが、念のため、一人一人に直接意思確認させてもらいますね。」


「よろしくお願いします…。」


(ちょっと言葉は変だけど、オブラートに包んで表現してもいいよね…)


コウスケは、ゴブリンに重症を負わされた男奴隷に近づき話しかけた。


「あなたは、俺のスキルで光の粒になって消えることを望みますか?」


男奴隷は頷いた。


………ユニークスキル「交換」を発動します。同意が確認できましたので、対象の生体と「交換」したい物をすべて選択してください………


・生活魔法スキルLv:3

→生活魔法を取得できる。Lv:1は“火起こし”、Lv:2は“飲み水”、Lv:3は”清潔”、Lv:4は“応急手当”、Lv:5は“食料判定”。

・短剣術スキルLv:2

→短剣の扱いが上手くなる。

・ステータスオーブ(MP+50)

・交換しない


「うぉッ!?」


(えっ!倒さなくとも「交換」できるのか!しかも、全部選択できる!生体との「交換」は、ハードルが高い分効果も高いのかも!)


コウスケは、全部を選択した。


生体は光の粒になって消えた。


『あ…り…が…と…う』そう聞こえた…。


コウスケ ナギ

5歳(40歳)

LV:5 職業:無職

状態:正常

HP:100/110 MP:180/180

攻撃:50

防御:50

速さ:50

魔法攻撃:80

魔法防御:80

【通常スキル】

生活魔法スキルLv:3new!

短剣術スキルLv:2new!

悪食Lv:7

気配遮断Lv:3

苦痛耐性Lv:5

病気耐性Lv:6

【ユニークスキル】

異世界言語

交換

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