第3話 気配遮断スキル
「倒した相手を対価にスキルやアイテムをもらえるのか…。もしかしたら、その辺のネズミなんかの小動物からでもスキルやアイテムを交換できるかもしれないな。」
(レベルアップでステータスも増えたけど、この増加幅は一般人と比べて高いのだろうか。召喚された人間は成長が早いとかいう設定なんかがあれば嬉しいけど、基準が分からないから、そこは追々確認していこう。)
「……誰かに見られたかもしれないし、すぐにこの場から離れた方がいいな。でも、どこが安全なのかわからないし、このままスラムをうろついてもまた襲われる可能性が高いか。それにしても、立て続けに襲われるなんて治安が悪すぎる。」
(いっそのこと、街から出た方が安全か…?、今のところ、この世界で出会った奴は全員まともじゃない。街の外にはモンスターなんてものがいるのかもしれないが、街の人間よりはマシなのかもしれない。「交換」で手にいれた悪食スキルはサバイバルに向けているはずだし、弱い動物とスキル「交換」していけば、そのうち、強い動物にも対抗できるかもしれない。そもそも、異世界にきて元々の人間嫌いがさらに悪化してしまったし、このまま人間に殺されるよりもモンスターに殺された方がマシだと考えるのはおかしいだろうか。)
コウスケは、街を出る決意をすると、街の門に向けて歩きだそうとした。その時…
「おいッ!クソガキ!てめぇ、さっき何しやがった?糞犬が突然消えたように見えたが…まぁいい…ククッ♪、それにしても高そうなナイフを持ってるじゃねぇか。大人しくそれを寄越しな!ナイフのお礼にまたボコってやるよ!」
野犬に襲われる前にコウスケを暴行していたうちの一人が、薄気味わるい笑みを浮かべながら物陰から近づいてきた。
(ッ!全然気配を感じなかった!?隠れて様子をうかがってのか?それとも、わざわざ戻ってきたのか?まぁ…どちらにせよ、HPの半分がなくなるまで殴っておいてまだ殴るつもりか…。しかも、よりによって、しつこく俺をいたぶってきたヤツだから…今度は確実に殺されるな…。)
「ごめんなさい。ナイフはあげますから、命だけは助けてください。」
コウスケは恐怖に染まった表情で男に懇願した。
「グハハッ♪そいつは俺様の気分次第だぜ。とりあえず、こっちへ来て、そのナイフを寄越せ。このクソガキッ!」
コウスケは、ナイフをわたそうと震えながら近づいた。男は嬉しそうにコウスケの顔を覗き込むために姿勢を低くした。
「ククッ。いいぜ!おおっ!やっぱ、その表情たまんねぇな!わざわざ殴りに戻ってきた甲斐があったぜ!モンスター相手じゃ、こんな反応してくれねえから、たまにはスラムのガキを時間をかけて殺すと最高にスカッとすんだよ!オラッ!下向くんじゃねぇ、ナイフもよこぁ………………………って、おいッやめろぉぉぉ!!!」
コウスケは、男がしゃがむタイミングを見計らって、震える演技をやめ、野犬の時と同じ様に器用にナイフを鞘から抜いて、男の目に狙いをつけて渾身の一撃を叩き込む。
(お前が俺をいたぶる時、何度もしゃがんで顔を覗きこんできたのを覚えてるんだよッ!!)
「ぐギャぃぁあー!!このガキッ!!さっきまで震えていたくせに、急に別人みたいになりやがって、ッ!…演技か!?しかも、的確に目を刺してきやがった!でも…深いが致命傷じゃねぇ!もう、ころ、し、て、や、る………ってな、ん、か、おか、し、いぞ…!!」
(よしッ!人間にも効いている!しかも、野犬の時よりも毒の回りが早いのか!?)
「グゲァ…ゴギュ…グベベゥ…な、に、しやがっ…た?毒…か?しかも、かなり…強力…なヤツだ。レジストできねぇ…なんで、てめえ…みたいなクソガキが…そんなもん…持って…るんだよぉぉぉ!!!!!」
コウスケは、男に毒が効いたことを確認すると、死角に回り込み、毒で弱っている男の顔面を木の棒で力いっぱい、目に刺さっているナイフがより深く沈むように狙いながら殴り続けた。
「グァ!ナ、ナイフ…が抜けねぇ…。な、ナイフが形状…変化…して…いる…や、べ、ろ……おれ、は、この、くに、の、…ら…だぞ…」
(お前にはやられる覚悟はなかったようだが、命のやり取りをしてるんだ。悪く思わないでくれ。)
コウスケは、無言で殴り続けた。
………器に対して既定値を超える経験値を獲得しました………溢れた経験値を使用してレベルアップシステムを次のステージに移行します………
………レベルアップしました………
………ユニークスキル「交換」を発動します。倒した男の死体と「交換」したい物を1つ選択してください………
・気配遮断スキルLv:3
→気配阻害の上位スキル。気配を遮断し生物に見つからなくなる。発動時間5分×スキルレベル
・暗殺スキルLv:10Max
→意識の外からの攻撃を即死攻撃にする。即死確率5%×スキルレベル
・ステータスオーブ(速さ+200)
・交換しない
「やはり「交換」できるのは倒した相手が持っているスキルみたいだ。話しかけられるまで、全く気配を感じなかったから、きっとこの気配遮断スキルを持っていたはずだ。それにしても、もともと俺を殺すため用意された毒ナイフだけど、このナイフのおかげで二回も命拾いしたな。そういう意味では、王宮の奴等には感謝しなくちゃいけないのかもな。…チッ…思い出すだけで胸糞悪い…。」
コウスケは、気配遮断スキルを選択した。
男の死体は光の粒になって消えた。
コウスケ=ナギ
5歳(40歳)
LV:3 職業:無職
状態:正常
HP:45/70 MP:90/90
攻撃:20
防御:20
速さ:20
魔法攻撃:40
魔法防御:40
【通常スキル】
苦痛耐性Lv:5
悪食Lv:1
気配遮断Lv:3new!
【ユニークスキル】
異世界言語
交換
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