第2話 野犬

「…うん!?犬か?」


野犬が一匹こちらに向かってゆっくり近づいてくる。


「どうみてもフレンドリーには見えないよな…」


野犬は獲物を狙う目でこちらの様子をうかがいながら距離を詰めてくる。


(こういう場合、背を向けて逃げると一気に襲いかかってくるから、警戒しながら少しずつ離れるのが正解と聞いたことがあるけど…どうやら逃がしてくれるつもりは無いらしい…覚悟を決めるしかないか…。ゴールデンレトリバー程の大きさの野犬に5歳児が襲われる場面なんて、普通に考えたらひとたまりもない状況だよ…。)


『…ガヴゥア!!!』


仕留められる距離に入ったのか、野犬は速度を上げて襲いかかってきた。


「このッ!!!」


咄嗟に、コウスケは落ちていた木の棒を拾って防御するが、対格差に負けて押し倒される。


『グルルヴゥオオオ!!!』


牙がギリギリまで迫ってきた。


「これ以上ダメージをくらうわけにはいかないんだよッ!!!」


左手に持った木の棒でガードしつつ、右手を使い、服の中から王宮で拾ったナイフを取り出して、口を使いながら器用に鞘から抜き、狙いを定めた。


「これでもくらえッ!!!」


野犬の目にナイフが勢いよく突き刺さった。


『キャイィィィイン!!!』


(よしッ!ほぼ狙い通り、野犬の目の近くに深く突き刺すことができた!)


『グゲァ!!!ババギャッ!!』


その後、野犬は口から泡を吐いてパニックになりながら、のたうち回り始めた。


(ナイフに毒でも塗ってあったのか!?なんにせよ、チャンスだ!)


持っていた木の棒で野犬の顔面を力いっぱい殴り続けた。


しばらく殴ると、


………レベルアップしました………


………ユニークスキル「交換」を発動します。倒したフォレストウルフと「交換」したい物を1つ選択してください………


・悪食スキルLv:1

→腐っているものや毒があるものでも、ある程度食べられるようになる。

・胃酸強化スキルLv:1

→食べた物を通常よりも早く栄養にすることができる。消化に悪いものでもお腹を壊さずに食べられるようになる。

・毛皮のコート

・ほし肉500g

・交換しない


「えッ?!」


頭のなかにメッセージが響き、目の前に透明のボードがあらわれた。


(自分の倒した相手の死体と「交換」できるのか!しかも、アイテムだけでなくスキルとも交換できる!)


コウスケは、今後、サバイバル生活をするうえで役立ちそうだという理由で悪食スキルを選択した。


コウスケ ナギ

5歳(40歳)

LV:2 職業:無職

状態:ケガ

HP:25/40 MP:60/60

攻撃:8

防御:8

速さ:8

魔法攻撃:13

魔法防御:13

【通常スキル】

苦痛耐性Lv:5

悪食Lv:1new!

【ユニークスキル】

異世界言語

交換

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