ユニークスキルでヒトと関わらないで幸せに暮らしたい
@test555
第1話 スラムに追放
実際に、異世界召喚された感想は…
― 最悪 ―
の一言に尽きる…
まず、身体が子どもになっていた。
そして、その事よりもっと酷いのが、この世界にはまともな人間が極端に少なかった。
一方的に召喚(拉致)し、使えないとわかると拷問のうえスラムに追放する王宮の人間…。
目をあわせるだけで気絶するまで暴行してくるスラムの人間…。
暴行を横目で平然と通りすぎる街の人間…。
今のところ、まともな人間に一人も出会っていない。
そんな状況で希望があるとするならば、召喚される直前に女神と名乗る女性から渡されたユニークスキルだろう。
……ステータス・オープン……
コウスケ ナギ
5歳(40歳)
LV:1 職業:無職
状態:正常
HP:15/30 MP:30/30
攻撃:5
防御:5
速さ:5
魔法攻撃:10
魔法防御:10
【スキル】
苦痛耐性Lv:5
【ユニークスキル】
異世界言語
交換
俺を追放した王宮の人間の話では、異世界召喚された人間は必ずユニークスキルを2つ以上持っているらしい。
俺の場合、そのうちの1つが「異世界言語」…この世界の言葉を話したり書いたりできる能力で召喚された異世界人は例外なく持っているらしい。
もう1つが「交換」…対象者との同意のもとにスキルを交換できる能力らしい。ただ、このスキルを報告した学者が『「交換」スキルは通常スキルのはず』と呟いていた。
召喚された人間の価値はユニークスキルの内容で判断されるようだった。通常スキルでもかなり効果はあるみたいだが、ユニークスキルは通常スキルを超える破格の効果があるらしい。
ちなみに、こっちの世界の人間は、通常スキルは一般人でも持っているが、ユニークスキルはほとんど持っていないらしい。
「はぁ…お互いの同意が必要な「交換」なんて、≪ハズレ≫なんて呼ばれても仕方がないのかもな…ハハッ…」
(相手がどんなスキルを持っているのかわからないし、スキルの交換なんて持ちかけても上手くいくとはとても思えない。王宮の人間の言う通りの能力であれば、奴等の言う通り、やはりハズレスキルか…。とはいっても、子どもの身体では前の世界の知識を活かしたとしても、このまま生きていくことは難しい。そう考えると、頼みの綱はユニークスキル「交換」になる。王宮で把握していない能力があるかもしれないので、色々と検証していくしかない。とりあえず、前の世界で習得したであろう苦痛耐性のおかげでなんとか耐えているが、この状況が続くと流石に精神的にも肉体的にもキツイ…。というか、いままでの拷問や暴行をどうやって乗り切れたのか自分でも疑問に思うほど酷かった…。)
前の世界でも一通り辛い事は経験したつもりのコウスケだったが、この世界に来てからの経験はそれらを軽く塗り潰していた。
(…はっきりいって“詰んでいる”…。…この詰んだ状況をなんとかしなくては…。)
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