第6話 BIRTHDAY

ヒゲを剃らなくなって

一週間がたった

彼女は僕のヒゲを

喜んではくれない。

だから、僕は

彼女と会う日は必ず

ヒゲを剃ることにしている。


鏡を見ながら

おもいっきりシェービングクリームをつける

ときどき僕は

サンタクロースになれるのではないかと思う

そして、シェーバーをもみあげにあて

一気にあごまでおろす

一週間かかってのびたヒゲが

あっという間になくなってしまう

幼い頃、床屋でしか味わえなかったこの感じ

一時は、美容室で散髪していたが

最近また、床屋で散髪している

床屋の蒸しタオルに美容室もかなわなかったようだ

いつのまにか、僕も毎日この感じをあじわうようになっていた

ヒゲ剃り後のローションが

ピリッと顔を刺激する

少しだけ、いい男になったようだ。

今日はよそ行きの服を着て家を出た

彼女の仕事が終わる頃

彼女の働くコーヒーショップへと急いだ

ちょうどいいタイミングで店をでてきた彼女に

「HAPPY BIRTHDAY!」といって

途中で買ったプレゼントと花束をだした

「ありがとう」と

僕のひげ剃り後の頬にキスをしてくれた

そして、僕らは

街の灯りとは反対のほうへ歩き出した・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る