第5話 LOVE LETTER
クリーニングしたばかりの制服を着て、僕は家を出た
学校に行くには、地下鉄と環状線を使う
三年間毎日使っていれば
ちょっとした事件もたくさんある
でも今日は、僕にとって大事件になるだろう
環状線のターミナル駅から乗ってくるあの娘に、
やっと手紙を渡す日が来た
そう思いはじめてから、
一週間が過ぎてしまった。
友達に見つからないように
制服の内ポケットにいれていた手紙が
しわくちゃになってしまったので
昨日の夜、書き直した。
"僕とつきあってください”
たった一言かくために、
徹夜した。
もう、僕がこの時間に学校に行くのも今日が最後だ
だから、今日こそ絶対に渡さなくては
電車の窓から彼女の顔がみえてきた
僕の胸が高鳴ってきた
そして彼女は、僕のすぐ近くに乗ってきた
僕の胸の音はますます大きくなるばかりで、
彼女に聞こえてしまいそうだった
いよいよ運命の時が来た
電車が駅に着くと
僕はおもいきって彼女に声をかけた
「あのぅ、これ読んで下さい・・・」
僕は、そう言って手紙を渡した
数日して彼女から返事をもらってないことに気がついた
失敗だった
僕は、彼女に連絡先を書かないで手紙を渡してしまった
次の日学校に行っていたときのように電車に乗った
彼女から返事をもらおうと思って・・・
地下鉄と環状線はあいかわらず混んでいた
改札やホームには、会社員や学生が、遅刻しないように急ぎ足で歩いたいた
僕はいつもの時間に環状線に乗った
いつもと全く変わらない朝だった
ただ、
いつもと違うのは
あの娘の顔を見つけることができなかった・・・
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