チャチャが体調を崩しました

※領地から戻って来てすぐのお話です


「おはようチャチャ。あら?どうしたの?今日は私より寝坊助なのね」


いつも早起きなチャチャが、なぜかまだベッドで丸くなっている。


「おはようございます、お嬢様!今日はなぜかチャチャ様の体調が悪い様で、朝ご飯も召し上がらずにずっとそうやって丸くなっているのです」


そう言って心配そうにチャチャの背中を撫でるルシアナ。食べる事が大好きなチャチャがご飯を食べないなんて、一体どうしたのかしら?


とにかく、しばらく様子を見る事にした。


「チャチャ、お散歩に行きましょう」


そう誘ったものの、なぜか動こうとしないチャチャ。次の瞬間、吐いてしまった。


「チャチャ、大丈夫?」


私の声を聞きつけたルシアナとエレナが飛んできた。


「どうされたのですか?お嬢様!」



「チャチャが吐いちゃったの。下に敷いてある毛布を取り換えるから、新しいのを持ってきて」


チャチャが汚してしまった毛布を急いで取り外し、新しいものに替えた。こんなに元気がないチャチャは初めてだわ。もしかして、病気にでもなってしまったのかしら?


「ルシアナ、チャチャが心配なの。急いで獣医さんを呼んでくれるかしら?」


「かしこまりました、すぐに手配いたします」


そう言うと、小走りで部屋を出て行った。しばらくすると、獣医さんがやって来た。チャチャを心配したお母様や使用人たちも続々と集まって来る。


「先生、今日の朝からチャチャが全然ご飯を食べないし、元気がないのです。さっきは吐いてしまったし。一体どうしてしまったのでしょうか?」


心配で先生に詰め寄った。


「お嬢様、落ち着いて下さい!早速診察を致しますね」


そう言って、チャチャを診察し始めた先生。皆が固唾を飲んで見守っている。しばらくすると、どうやら診察が終わった様で、先生がチャチャから離れた。


「先生!それでチャチャはどうなのですか?」


心配で先生に詰め寄る。


「簡単に言うと食べすぎですね。それから、人間の食べ物を与えているでしょう。犬にとって人間の食べ物は良くありません。そのせいで、胃に負担が掛かってしまっていると思われます。心当たりはありませんか?」


人間の食べ物?そんな物、一度もチャチャに与えた事は無いわ!まさか!


近くにいた使用人たちを見ると、ルシアナ以外全員俯いているか目をそらしている。さらにお母様までも!


「もしかしてあなた達、チャチャに人間が食べる食べ物を定期的に与えていた?」


私の問いかけに


「「「「申し訳ございません、お嬢様」」」」」


使用人たちが一斉に謝罪した。あまりの息の合いっぷりに、練習していたのではないかと思う程だ。


「お母様も与えていたでしょう!」


目をそらしているお母様に向かって叫んだ!


「ごめんなさい、チャチャが可愛くてつい…でも私だけでなく、お父様だって与えていたわよ!」


何て事を…


「原因はそれですね。これだけの人たちが何かしら食べ物を与えていたという事は、相当な量を食べていたのでしょう。これからはあまり食べ物を与えすぎない様に注意してくださいね。特に人間の食べ物は、気を付けてください。とりあえず薬を出しておきますので、しっかり飲ませてあげてくださいね。それでは私はこれで」


そう言って先生は帰って行った。


「とにかく、もうチャチャにご飯と決められた時間のおやつ以外、食べ物をあげる事は禁止します。皆、くれぐれも勝手に食べ物をあげないでよ!」


「「「「はい、以後気を付けます」」」」


またもや息がピッタリの使用人たち。私の横で、呆れ顔のルシアナ。そういえば、ルシアナだけが食べ物をあげていなかった様だ。


その後チャチャは薬が効いたのか、翌日にはすっかり元気を取り戻した。ただなぜか嬉しそうに使用人に飛びついても食べ物を貰えなくなった為、キャンキャン吠えて怒っていたが、こればかりは仕方ない。


ちなみに今回の事件をきっかけに、チャチャが勝手に厨房に入らない様に、柵が設けられた。さらにルシアナを中心に、チャチャに食べ物をあげない部隊が発足し、あげようとしている人を見つけると、厳しく注意するようになった。


そのおかげで、チャチャがその後食べ過ぎで体調を崩す事は無くなったのであった。ただ学院に入った時、レオがチャチャに嫌われた際の餌付けは、大目に見てもらえたのであった。




~あとがき~

番外編、中々書けずにすみません。

少しずつ様子を見ながら書いて行こうと思っています!


引き続き、どうぞよろしくお願いしますm(__)m

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