番外編
必ず君を迎えに行くからね~ユーグラテス視点~
※マレー王国に行ったユーグラテスのお話です。短めです!
今日も目が覚めると、いつもの天井が目に入った。マレー王国に無理やり連れてこられて、どれくらい経っただろう…
頑丈な鎖で手と足を繋がれている為、この部屋から逃げる事は出来ない。どうしてこんな事になってしまったのだろう。ミシェル…僕はこんなにも彼女を愛しているのに、どうして誰も分かってくれないのだろう…
コンコン
「ユーグラテス様、おはようございます。ご機嫌はいかがですか?」
部屋にやって来たのは、僕をこの国に連れて来た張本人、ベレッサだ。僕はこの女を見ると虫唾が走る。
「ご機嫌なんて良い訳ないだろう。君の顔を見ると、気分が悪くなるんだ。頼むから出て行ってくれるかい?」
「いつまでも反抗的な態度を取っていますと、ずっと鎖で繋がれたままですわよ。いい加減、私を受け入れてくださいませんか?あなたも、いつまでもこんな狭い部屋に繋がれているのは嫌でしょう」
そう言ってため息を付くベレッサ。
「うるさいな、僕の事は放っておいてくれ!」
そう思うなら、さっさとこの鎖を外してくれよ!そんな思いから、ベレッサに怒鳴りつけた。
「とにかくあなたは私と結婚し、王配として国を支えていただきたいのです。レベッカの話では、物凄く優秀な方だと聞いておりますわ。ミシェル嬢でしたっけ?既に彼女の婚約者のレオ様は、ミシェル嬢の家で一緒に生活をしているそうですよ。とにかくミシェル嬢の事は早くお忘れになった方が、あなたも幸せになれますわ!」
そう言うと、出て行ったベレッサ。ミシェルとレオはもう既に一緒に住んでいるのか!考えただけで、イライラが止まらない。クソ!あの時さっさと国を出ていれば、ミシェルは今頃僕のものだったのに!
悔しくてついベッドを何度も殴る。
そんな僕を見て、グラデス王国から一緒に付いて来てくれている執事がため息を付いた。
「ユーグラテス殿下、いい加減ベレッサ王女の言う事をお聞きなったらいかがですか?ベレッサ王女の言う事を聞いていれば、比較的自由に過ごす事も可能です。そもそも、もしマレー王国にいらしていなければ、寒く厳しい北の国で一生過ごさなければいけなかったのですよ。意固地にならず、少し柔軟な態度に出られた方がずっとお幸せに暮らせると言うのに…」
そう言うと、執事は出て行ってしまった。柔軟な態度か…
確かにこのまま鎖で繋がれて部屋に閉じこもっていても仕方がない。とりあえずベレッサと和解するふりをして、隙を見て王国を抜け出そう。そして、第三国で生計を立てた後、改めてミシェルを迎えに行けばいいのか。
そうだ、どうして僕はそんな簡単な事に気が付かなかったんだ。何年かかるか分からないが、必ず迎えに行くから待っていてね…ミシェル…
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