第2話 彼に会った日

「俺のこと、すぐわかった?」

正直わからなかった

FtMというものを全く知らなかったから、ボーイッシュな女の子がくるものだと思っていた

その予想は裏切られた


私よりは10cm以上も高い身長に、短髪で声も低く、スラッとスタイルの良い彼に女性の面影はまるで見られなかった


レストランに入り、仕事の事や今アプローチをうけている女の子の話を聞いていた

やはり彼はモテるらしい、話している時の物腰の柔らかさや年下の扱いの上手さを見る限り、そんな感じはしていた


私は「女の子によくモテる顔」だ

彼もまた、例外では無かったらしい


「ね、また会ってくれる?」

別れ際、寂しそうに言う

「会おうよ、絶対」

SNSで出会った人とは珍しく、私は連絡先を交換した

「ね、絶対連絡してね」

「うん、帰ったら連絡するよ」

高鳴る感情を隠して、少し冷たく返事をした

そんな言葉をかわしてその日は別れた

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