第17話 お化け屋敷

※ホラー要素を含みます。苦手な方は御遠慮下さい。


「そうかそうか。じゃあ入ろうな」

「ちょっ……話聞いてた? 怖いの、本当無理だって……」


神林はお化け屋敷に柚愛を連れて行こうとしたが、やはり断られた。


「大丈夫だって、俺がいるから。ちゃんと手繋いでるからさ」


神林は、そう言うと繋がれた手を少し上にあげた。


「ほんとに? 絶対離さない? ……あたし、うるさいと思うけど……平気?」

「怖いのはしょうがないからな。悲鳴は好きなだけどうぞ。なんなら腕にしがみついてもいいし」


神林は笑みを浮かべた。


だが、その笑みは優しい物ではない。


──それは、少年がいたずらを企んだ時のような顔だった


「……じゃあ、頑張る」

「よし、行こう」


2人はお化け屋敷の中に入って行った。


中へ入ると薄暗く辺りはよく見えない。


「遥也さん……絶対手離さないでね」

「ああ、柚愛の右手は絶対に離さないよ」

「え……? 右手? じゃあ左手は……? え、キャー!!」


柚愛は左に顔を向け、手に視線を移した。


その瞬間左手を振り払い一目散に走り出した。


「ちょっと柚愛! 走らないで、危ないよ」

「……うっ……。だ、だって……左手も誰かの手繋いでて、それが白い服来た髪の長い女の人だったんだもん! 怖いよっ……」


少し離れた所で柚愛は止まり泣き出した。


「それは……怖かったな。もう、大丈夫だよ。あとは入口でもらった御札をお墓の横にある入れ物に入れるだけみたいだし」

「う、うん……。けど、それが一番怖い気がする」

「大丈夫大丈夫」


そして、お墓に到着した。


ここに来るまでに鏡に自分の顔が映ったり、顔面にこんにゃくが当たったり、井戸から首の長い女の人が出てきたりと柚愛にとっては恐怖の連続だった。


「やっとここまで来たね」

「う、うん。遥也さんよろしくね」

「なんでだよ。一緒に入れよ、はい」


柚愛は神林に手を握られ一緒にお墓の横に置いてある入れ物に御札を入れた。


特に何も起こらず出口から出ることが出来た。


「はぁぁ……怖かったー。遥也さんは?」

「これは俺もちょっと怖かったな。柚愛、お疲れさん」


神林はそう言うと柚愛の頭をポンポンとした。


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