第9話 特別

***


そして1週間後……。


「今日はここまで。わかんなかったとこあったか?」

「大丈夫です! ほんとにありがとうございます」

「俺が特別に教えたんだから次の期末テストではいい点取るんだよ」

「はい!(特別か……嬉しい)」

「きっと山科なら出来るよ」

「……は、はい。あ、ありがとうございます!」


隣に座る神林に頭を撫でられながらも"好き"が悟られないように必死に言葉を発した柚愛だった。


「山科は鳴海と仲良いようだけど、付き合い長いのか?」

「穂花とは中学校から一緒なんです。勉強出来て運動神経も良くて……自慢の友達です」


柚愛は恥ずかしそうに答えた。


「そうかそうか。大切な友達がいてよかったな。これからも大切にするだよ」

「はい! では、そろそろ失礼します。毎週教えて頂きありがとうございます」

「ああ。個別に教えるのなんて山科だけだからな。あ、他の生徒には言ってないよな?」

「あ……穂花だけには話しました。けど、秘密にしてくれるって……言ってました」

「鳴海か。大切な友達だもんな。他には他言しないようにな」

「はい。では、失礼します」


柚愛はお辞儀をすると数学準備室を後にした。


「(個別に教えるのは……あたしだけ。嬉しい……けど、なんであたしだけに教えてくれるのかな?)」


毎週金曜日の勉強会は毎週行われ7月上旬。


茉緒は休み時間のうちにトイレへ向かった。


ドアを開け便器に座り、用を足している

と……。


「ねえ聞いた、2組の担任と保健室の先生付き合ってるらしいよー」

「えー! それって神林先生と芳村先生? 2人ってそんな仲なんだ!」

「そうそう! その2人。話す時距離近いし、なんでも芳村先生自身が言ってたらしいよ」

「本人の証言あれば確実だね。私、神林先生わりと好きだったんだけどな……」

「あ、話変わるけどさ……」


バタン


神林と芳村の話をしていた女子生徒2人組は話しながらトイレを後にした。


そんな話を便器に座りながら聞いてしまった柚愛。


なかなかトイレを出られずにいた。


「(え……。待って……。神林先生と芳村先生が……付き合ってる)」

「(芳村先生綺麗だもんな……。はぁ、やっぱり教師と生徒との恋なんて無理なのか……。あ、今日金曜日じゃん。行きたくないな……)」


芳村は黒のロングヘア、ぱっちり二重の瞳に鼻筋の通った鼻。そして、なんといっても小顔だ。


それなのに身体は出るところは出ている。


いわゆる、スタイルバツグンなのだ。


しばらくトイレに篭っていた柚愛はドアを開けトイレを後にした。


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