谷川流の憂鬱

「二人とも行ってしまったなぁ……」

グランドに広がる炎の絵文字をぼんやりと眺めながら僕は、ここ数日の出来事を思い返していた。


 思えば、あのときはびっくりしたよなぁ。コスプレどころじゃない、キョン成りきりなんてとんでもないアニヲタだと思ったが実は本人だったなんてなあ。これからはもっとまともな話の展開を考えてやろう。いや、それじゃ面白くないか。そうだな……煮て食うも焼いて食うも僕次第か。僕はニヤリと笑った。

 もう実際に会うことはないんだろうな。もっと向こうの世界の話を聞いておけばよかった。


 それにしても長門ながと有希ゆきがあんなに美人だったとは。やっぱり僕の思い入れが他のキャラクタとは違うからかもしれない。もしハルヒが来たら、やおら胸ぐらをつかんで「ちょっと谷川たにがわ!もっとあたしを活躍させなさい、誰が主人公だと思ってんの!?」とでも言うかもしれない。そうだ、今度、平野綾ひらのあやさんにやってもらおう。


「さて、帰って次号の原稿でも書くか」

さっさと帰らないと警察と消防が来そうだ。明後日くらいの新聞の地方らんには載るかな。


 そのとき、闇の向こうから大声がした。「谷川たにがわさん!谷川たにがわさん!俺です」

見るとグランドのはしからキョン君が走ってくる。「谷川たにがわさん!また戻ってきました」

「キョン君!そんなバカな!たった今もとの世界に帰したばかりなのに!」


 僕はその場で卒倒したらしく、そこからの記憶は曖昧あいまいだ。


                 To be continued...

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長門有希の憂鬱Ⅰ のまど @nomad3yzec

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