長門有希の日記


 こちらの世界へ来て二年が過ぎた。


 情報統合思念体じょうほうとうごうしねんたいからの連絡はない。支援もない。誰も助けに来ない。


 このまま時が過ぎれば、わたしの有機ゆうきサイクルはいつか性能の限界に達し寿命をげる。


 それまで、色がない世界でわたしの思考回路は物理的に機能するだろう。


 それならばわたしはいっそ、目を閉じ、耳をふさぎ、口をつぐんだ生命体として生きようと思う。


 わたしは長期の待機モードを起動させた。


 果たして奇蹟は起きるのだろうか。


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