第13話 夕食
「はいどうぞ」
デデンと私の前に置かれた物体を目の当たりにして、年甲斐もなく目をきらめかせてしまった私を責める者はこの場には誰もいない。
我が家で食べるハンバーグなんて、弁当のレンチンでしか湯気が上がってるのを見たことがない。
そんな私が今、我が家のテーブルに着きながらほかほかのご飯と熱々のハンバーグを召し上がろうとしているのだ。
目がきらめかずにいれようか、いやいれない。
「写真撮っていい?」
「え、…うん、いいけど…。なんで?」
「記念記念♪」
「そ、それよりも早く食べて。冷めてしまいますよ」
ふふ、照れてる有紀ちゃんも可愛い。
普段も可愛いんだけどね。
でもね有紀ちゃん、一つだけ私、不満があるんだ。
「有紀ちゃん、私はハンバーグだけでよかったんだ「残さず食べて下さいね」けど…」
話聞いてください。
「お姉さん、好き嫌いがダメとは言わないです。でもお肉だけじゃなくてちゃんと野菜もとらないと体に悪いですよ」
「ハンバーグにも玉ねぎが入ってるから野菜は十分だと思います」
「十分じゃないです」
うう、ハンバーグの横に添えられたキャベツ山盛り、そしてミニトマト、小皿にはポテトサラダも付いている。
そもそもキャベツってなんなの?
葉っぱ食べてるだけじゃん。
トマトなんて野菜の癖になんであんな酸っぱいの?
ポテトサラダ…、あんたは許す。
美味しいよね、ポテサラ。
私はマヨたっぷりのポテサラが好きだな。
「どうしたんですか、放心して」
「ん、いやなんでもないよ」
「そんなこと言いながらキャベツを端に寄せないでください。どちらにせよちゃんと食べてもらいますからね」
「あうちっ!」
結局渋々ながら野菜も食べさせられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます