新しい生活

第12話 コンビニの彼女

最近うちはリアルの推しカプが出来た。

ゆきおねだ。


最近うちのバイト先のコンビニによく来る二人で、有紀ちゃんとお姉さんと呼びあってるからゆきおね。

背が低くて可愛らしい有紀ちゃんと、背が高くてスラッとしてるお姉さん。


呼び方からもお姉さんの方がしっかりしてそうなんだけど、実は有紀ちゃんの方がしっかりしてる。


そしてそんな二人をネタにうちは漫画を描き始めてトゥイッターに上げ始めたのだが、これがそこそこ人気になってくれてる。

ゆきおね様様だ。


そしてそんなゆきおね様様がまさかのバイト先のコンビニ以外でエンカウントした。


「今日の晩ご飯は何がいいですか?」

「お肉!」

「ではハンバーグにしましょう」

「よし!」


近所のスーパーでたまたま晩ご飯の買い物に来たうちの目の前では、お姉さんが晩ご飯がハンバーグになったことでガッツポーズをしていた。


「ゆ、有紀ちゃん有紀ちゃん。なんで今晩はハンバーグなのにお野菜コーナーに行くの?」

「何言ってるんですか?スーパーなんですから野菜コーナーから回って順番に回らないと」

「いや、私的にお野菜はー…」

「野菜も食べないと栄養かたよりますよ?」

「有紀ちゃん、私は、ハンバーグのみを、所望します」

「却下」


はぁーー!

しゅんとしてるお姉さん尊い。

ちっちゃいのにお姉さんにさらっと厳しい有紀ちゃんも尊すぎる。


「やば、忘れないうちにメモしなきゃ」


スマホを取り出して今の状況をメモ帳アプリに書き込む。

今日はコンビニ以外でのゆきおねが見れてほんとついてるな。


っていうか、二人って実際どういう関係なんだろ?

姉妹って感じではないし、でもそれにしたって社会人と高校生って組み合わせは…、いとこ…とかかな?

それならお姉さん呼びも分からなくもないし。


「何だかんだでたくさん買っちゃいましたね」

「そだね。早く帰って有紀ちゃんのハンバーグが食べたいな」

「そうですね。早く帰りましょうか」

「ああ、荷物持つよ」

「いえ、お金まで出してもらってるので持って帰るのくらいあたしがっ!?」

「だ、大丈夫?」


うわっ、うわっ、うわっ!

買い物袋が重かったからだろうけど、体勢崩れた有紀ちゃんのお腹に手を回して支えるお姉さん、すごい絵になる。

なんだか心なしか有紀ちゃんの顔も赤くなってるし。

恥ずかしさからなんだろうけど、心のフィルムに収めて、後で描き起こさないと。


「あんまり無理しちゃダメだよ」

「は、はい…」

「ふふっ、じゃあ帰ろっか」


さりげなく買い物袋を持ってくれてるお姉さんのかっこよさに、思わず優しくされてもないうちがきゅんてなってしまう。

それでいて子供っぽいところも持ち合わせてるなんて、あの人反則でしょ。


今日の出来事を早く紙に起こしたいうちは、食事も作るつもりで買い物に来たけど弁当で済まそうとささっと買い物を終えて帰ると、パソコンの前にすぐさま座るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る