第6話 有紀ちゃんと朝食

トントントントン…。


朝起きると聞きなれない音で目を覚ましベッドから起き上がる。


今の時間は4時半か。

もう少し寝れたかな。


6時には家を出ないとだからちょっと早めに家を出て、のんびり歩いていくか。


トントントントン…。


ああ、それにしてもこの音は…?

台所から聞こえてきているみたいだけど。


「あ、お姉さん」

「んぅ?、誰?」

「田岡有紀だよ、忘れちゃった?」


田岡…有紀…。

ああ、ああ、私が昨日保護した。


「そっかそっか、有紀ちゃん」

「まだ寝惚けてる?。とりあえず、ご飯用意したから食べますか?」

「食べる」


テーブルにはこれまで見たことがないような手作りの料理が並んでいる。

これまでテーブルに並ぶといったらコンビニ弁当か缶チューハイくらいなもんだ。


あかん、涙が出てくる。


「ちょっとお姉さんなに涙目になってるんですか?、まだ眠たいんですか?」

「いや、うん、ちょっと眠いかもね。でもご飯見たらお腹すいてきちゃったよ」

「そうですか。それじゃあご飯にしましょ。家何時ごろ出る予定ですか?」

「6時くらいかな」

「わかりました」


ん、なにが分かったんだろ?

とにもかくにもご飯うまー。

今日はちゃんと有紀ちゃんも一緒にご飯食べてくれてるし、誰かと食べるご飯ってやっぱりいいね。

出来ることならこれからもずっと一緒に食べていきたいな。


「そういえば有紀ちゃんは学校は?」

「え、学校ですか?」

「そ、家出はいいけど…、いやよくはないけど。行かなくていいの?」

「いえ、あたしは大学には通わなかったので」

「ん、大学?」

「はい、だからこれまで高校出てからはずっと家の手伝いばっかりでした」

「え、え!?ちょっと待って…」


大学って大学だよね。

有紀ちゃん実際何歳?

中学生くらい?いってても高校生くらいだと思ってたけど、


「有紀ちゃん、有紀ちゃん」

「はい、なんですか?」

「有紀ちゃんって今何歳?」

「え?、今年で二十歳になりましたよ」

「ヴぇっ!?」

「えっ?」


二十歳?

お酒を飲んでも許される二十歳?

タバコを吸っても許される二十歳?

有紀ちゃんが?


「…あたし、二十歳ですよ」


有紀ちゃんの背後に『ゴゴゴゴゴッ』って効果音がなってそうになっている。


「あたし、二十歳ですよ」

「はい、すみませんでした」


朝食の間中、私はひたすらに謝った。

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