第5話 今の自分に出来る事は
「えーっと、あれをこうして…」
ちょんまげがスマートウォッチの様な物…とりあえずダサいけど守護ッチとでも名付けておこうかな。守護ッチをいじっていると突如ホログラム映像が浮かびだしてきた。
「うぉっ!すげえ!」
「この守護ッチは色々機能があるのでござるが、お主何も聞いてないでござるか?」
「あーなんか死んで色々すっ飛ばして手続きして守護霊になったから何も聞いてなかったな。」
てか正式名称も守護ッチなんだ…ダサ…
「実は守護霊同士で通話したりメールしたりその他諸々うんぬんかんぬんあれこれと出来るのでござるがそれは後にして、なんと守護ポイントを貯めると夢枕に立てたり心霊写真に写れたり遺影倒したりとちょっとだけ現世に関与することができるでござるよ!」
「そういえばお地蔵様が遺体焼かれるまで夢枕に立てるとか言ってたわ。」
「そういえばそうでござった。まあ守護ッチの説明は時間ができたらヘルプを見るでござるよ。まあこの先時間しかないでござるけどな。」
「手続きしてなかったけど夢枕に立てるのかな?」
「多分大丈夫でござるよ。遺体が焼かれるまでは夢ホーダイでござる。夢枕を押したら関係ある人がリストに出てくるでござる。そこに○があったら寝てるからその人の所をタップしたら確認が出るのでOKを押すとその人の夢に飛べるでござるよ。」
ちょんまげはいつの時代の人かな?めっちゃ現代人っぽいじゃんこいつ。現世慣れしすぎじゃね?まあいいか。
「まだ愛子は起きてるから、後は寝るのが先か俺の死が皆に伝わるのが先か…」
出来れば早く寝てほしかった。
早く謝りたい。こんなタイミングで死んでしまった事。早く伝えたい。近くでいつも見守っている事。
信じてくれるかわからないけど。もし自分が逆の立場だったら信じられるわけ無いけど。信じてほしいな…。
その頃義母はまだ悩んでいた。そりゃ悩みますよ誰だって。ただでさえ伝えにくいのにましてや出産直後にこんな事になるなんて。
「も…もしもーし?」
そういえば優寿の父とまだ電話が繋がっていた。
「す…すみません!ちょっと後で連絡します!とりあえず孫は無事産まれてます!!!」
「えっ?あ、はい。とりあえず私共は警察へ向かいます。」
「とりあえず私達は愛子のそばにいます。優寿くんの事は宜しくお願いいたします。」
「ええ、では後で。」
通話が切れた。時間はまだ深夜だ。ひとまず愛子に伝えるのは起きてからにしよう。少しでも体力を回復させてから…そう決めた。
愛子の部屋が近づく。決して負の感情を出さぬ様にするしかなかった。
その頃、優寿の両親は急いで警察署に向かっていた。しかし警察署に着くも優寿と顔を合わせる事は出来なかった。それほど遺体の損傷は激しかった。だが所持品から優寿である事は確かだった。
そして警察から告げられる。別の安置室にはもう一つ遺体があり、それは優寿を轢いた加害者である事。彼は天涯孤独だという事。
優寿の家族は怒りの矛先を向ける事が出来なくなっった。
深い悲しみとどうしようもない怒りに優寿の父はよつん這いになり、泣きながら地面を殴るしかできず、母は過呼吸手前まで泣くことしかできなかった。
それから少し時が経ち…愛子はやっと寝た。
どうにか夢枕に立つ前に死んだ事を知ることはなかった。
優寿は安心しつつ緊張しながら覚えた守護ッチを操作し、愛子の夢の中へ向かう事にした。
「じゃ、いってくるわ!」
「ご武運を!」
優寿は愛子に吸い込まれていった。
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