閑話:ある女神の憂鬱
あーもう、最悪っ!!
やっとノルマを達成できると思って呼び寄せたアイツ、なんなのよ!?
女神である私をいやらしい目で見るし、しかも言うに事欠いて女神である私と自分が似ているとか言うのよ!?
魂さえ呼び寄せれば、あとは死んでもいいんだからさっさと死んでくれればいいのに、あんなやつ!
それなのに肉体製造の事務方はあいつに、『余っていたから』なんて理由で悪くないスペックの肉体渡すし、スキル神様はスキル神様で、『こんなにこのスキルに合う魂は無い!』なんて張り切って、『貯蓄』なんていうとんでもないスキル渡しちゃうし!!
でも、唯一の救いは、あいつが勇者の奴隷になったことね。
売れ残りのアイテムが、こんな形で役に立つだなんて思ってもいなかったわ。
あの勇者って子、私にとっては最高の勇者だわ!
私に権限があれば、あの勇者の子が悩んでいるスキルや職業を変更してあげるのに。
でも、私にできるのは魂の異世界転移と、世界の声を人々に届けることだけ。
ごめんなさい、勇者君。
はぁ。転移させた魂は見守らないといけないから、私はこれからもあいつを見てなきゃいけないのよねぇ。
まぁ、他にも見守る対象はいるから、あいつを見守る配分は極力少なくしましょ。
別の日
あぁもう!!最悪っ!
最高神様に怒られちゃったじゃないの!
これもあいつのせいよ!
あいつが『世界の声』がうるさいとか言うからアナウンスを親切にも止めていただけなのに、職務怠慢って最高神様から言われちゃったじゃないの!
しかもなに!?
久々に覗いてみたら、あいつ結構強くなっちゃってるじゃない!
ますますあいつが死ぬのが遅くなっちゃうじゃないの!
でもあいつ、あの
魔王に目をつけられるなんてザマぁ。
って言いたいところだけど、あの娘もあの娘で、ねぇ。
でも、あの娘の狙いはあの方だし、きっとあの方があいつを屠ってくださるはずね。
それを楽しみにしておきましょう。
私は、あいつが全然儲からない呪いをお祈りすることにしましょう。
あ、呪い神様。
え?神からの願いは聞き届けられない?
そんな事言わずに、お願いしますよ、呪い神様!
ちょ、職権乱用だなんて、そんな、冗談ですよ!
あぁ、おやめください!最高神様にご報告するのだけはご勘弁をっ!
は、はいっ!
これからも、誠心誠意、職務を全うさせていただきます!
はい、おつかれさまでした!
また是非、飲みに誘ってください!
もぅ!今度は呪い神様にまで怒られちゃったじゃないの!
受け持つ職務とは裏腹に、神界のなかでも群を抜いて良い
私の
うん、そうね。
あいつも頑張って生きているのよね。
もう少し応援してあげないと・・・
ってあいつ、またいかがわしいお店に行ってるわ!
穢らわしいっ!
やっぱりダメ!
あいつは生理的に受け付けないっ!
あんなやつ、早くくたばっちまえばいいのよっ!!
あっ、言葉神様!
え?いやだなぁ、仮にも神である私が、『死ね』だの『くたばれ』だのという汚い言葉を、しかも人間に対して使うわけないではありませんか、おほほほほ。
あ、ちょっと嘘神様!?
嘘の匂いなんてしませんことよ!?
あぁお2人とも、最高神様へのご報告だけはおやめください!
これ以上お給料さげられたら私、生きていけません!
はい!これからも慈愛の心で、清らかなる世界の言葉を人間達に伝えていく所存です!
はい!おつかれさまでした!
またお食事誘ってください!
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