第23話:治癒魔法の貯蓄
-----------
名前:キンジ
職業:勇者の奴隷(勇者の従者)
スキル:貯蓄 Lv.3
貯蓄
お金 無制限
物理攻撃 6発
無生物 6トン
魔法攻撃 6発
ーーーーーーー ーー
ーーーーーーー ーー
あと2件、貯蓄を設定できます
派生スキル
返済・改
-----------
スッキリした気持ちで眠りについた俺は、翌朝改めてステータスを確認した。
職業に、カッコ書きで【勇者の従者】が書かれてやがる。
これは、どういうことだ?
あの水晶で見てもこう見えるのか?
まぁ、試してみて見なきゃわからんな。
それよりも、派生スキルの【返済】が【返済・改】になっている。
どうやらこれは、返済の対象を自由に選べるらしい。
これはありがたい。
誰からの攻撃を受けても、任意の相手に返済できる。
思っていたよりも収穫はあった。
これで俺の考えていたことが早速実行できるってわけだ。
ジョーイの話では、治癒魔法というものが存在する。
これは、あの誘拐犯達に捕まった時に聞いた話だったが、俺はあの時、敢えて【魔法】でなく【魔法攻撃】を【貯蓄】に設定した。
何故か。
簡単な話だ。
治癒魔法と魔法攻撃を、まとめて【貯蓄】したくなかったからだ。
治癒魔法は、【貯蓄】できる分だけ【貯蓄】したい。
いざという時に弾切れはゴメンだからな。
しかしそれ以上の問題があった。
そう。
おそらく昨日までの【返済】であれば、治癒魔法は術者に【返済】される。
それだとなんの意味もない。
しかし【返済】の対象を選べるようになった俺には、そんなことは最早関係ない。
本来術者に帰るはずの治癒魔法を、俺自身に返済すればいいだけの話だ。
俺はジョーイとミーシアを先にギルドに向かわせて、1人教会に来ている。
別に神に祈るつもりなんてない。
まぁ、祈って俺を転生させた女がヤラせてくれるんならいくらでも祈るけどな。
ジョーイの話だと、こういう教会には必ず、治癒魔法を使える奴がいるらしい。
ま、金は取るらしいけどな。
俺は物陰に隠れると、ジョーイから借りた剣で腕を軽く斬りつけた。
「ぐっ」
さすがに痛いな。
まぁ、治癒魔法を【貯蓄】するためだ。我慢してやろう。
俺はそのまま、教会へと足を踏み入れた。
厳かな雰囲気ってのは、こういうことを言うのか?
ま、どうでもいいけど。
俺がキョロキョロと当たりを見回していると、神父らしき男が声をかけてきた。
「ようこそ。今日は、お祈りに?」
「いや、この傷を治して欲しい」
俺が切り傷の入った腕を見せると、神父は苦笑いを浮かべていた。
「確かにここに治癒魔法を使える者はおりますが、その、よろしいのかな?
その程度の傷であれば、少し経てば消えるでしょう。
そうすれば、わざわざお布施する必要もないのですよ?」
お布施、ときたか。
あくまでも、こちらの善意で払う前提か。
だったら、払わなくてもよかったりしないのか?
「ちなみに、そのお布施とやらの相場は?」
「お布施の相場などと・・・
まぁいいでしょう。多くの人は、ヒールに銀貨5枚、ハイヒールになると、銀貨50枚ほどお納めくださいますな」
そう言って神父は、さっき言った言葉と同じことが書かれた紙を差し出してきた。
いや、しっかりメニュー表になってんじゃねーかよ。
金取る気満々じゃねーか。
「ちなみに仮に、傷を治せなかった場合はどうなる?」
俺は神父に
「いやいや、その程度の傷、治せない訳がないでしょう」
「だから『仮に』って言っただろ?で、どうなんだよ?」
「そうですね、傷を治せなかった場合は、お布施は受け取らないことにしましょうか」
「あぁ、そうか」
よし。言ったな。
「じゃぁとりあえず、ヒールを頼む」
俺は促されるままに椅子に腰掛けて神父に告げた。
「では、始めます」
神父はそう言って俺の腕に手をかざして、何やらブツブツと呟き始めた。
ってお前がやんのかーい。
俺はてっきり、綺麗なシスターでも出てくると思ってたぞ!
すみませーん、チェンジで〜
「ヒール」
ってヤバっ!
【貯蓄】っ!!
やべー。間に合ったか?
俺が恐る恐る腕に目を向けると、傷はまだそのまま残っていた。
あぶねー!
余計な事を考えてる間に、治されるところだった。
「なっ・・・治っていない・・・」
神父は驚きの目で俺の腕の傷を見つめていた。
「そう、みたいだな」
俺はニヤリと笑って神父を見つめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます