第22話:そっちのパターン
俺は今、1人宿の部屋でベッドに腰を下ろしている。
王都の、モージャの宿だ。
帰りにボアを4体程狩って換金した俺の金で、ミーシアとジョーイも別々に部屋を取っている。
ジョーイのやつ、どんどん俺に借金してやがる。
あいつ、返すつもりあるんだろうな。
ミーシアはいいんだ、ミーシアは。
体で返してくれればな。
ボア4体分のお金ちゃんじゃ、どうせ娼館には行けない。
あぁ、ミーシアを抱きたい。
いや、きっとこうしているうちに、ミーシアが来るはずだ。
・・・・・・・・・
うん。来ないな。
そういえば、ボアを倒したときにちゃっかりレベル上がってたんだよな、俺。
ミーシアがあんまりジョーイに熱い視線を送るもんだから、すっかり忘れてたけど。
娼館にも行けねーし、ミーシアも来ない。
ステータス確認してから一発抜いて、さっさと寝―――
「コンコン」
来たぁーーーーーっ!!
俺は即座にベッドから立ち上がった。
いや、待てよ。
だいたいこういうときは、ジョーイのバカが空気読まずに来るパターンじゃね?
危ない危ない。
俺としたことが、危うく騙されて大声でツッコむところだった。
俺は冷静さを取り戻し、扉を開いた。
そこにいるのはもちろん、ムカつく爽やかイケメン。
ではなく、魔族の美女だった!
「そのパターンは逆に想定外っ!!」
「キ、キンジ。突然大声を出さないでくれないか?
今、忙しいか?」
「わ、悪い。全然忙しくない!入れよ」
結局、盛大にツッコんだ俺は、なんとかミーシアを部屋へと招き入れた。
ミーシアは頭に巻いた布を外すと、ベッドへと腰を下ろした。
ちなみにこの布は、角を隠すためのものだ。
角さえ隠せば、魔族とはバレないみたいだからな。
王都にも、それで問題なく入れた。
ってそんなことはどうでもいい。
来ちゃったよ。
ミーシア来ちゃったよ!
やっちゃうよ?
俺、異世界童貞捨てちゃいますよ!?
「キンジ・・・・」
ミーシアは、火照った顔を俺へと向けた。
「ミーシア・・・・」
ミーシアの綺麗な瞳に、俺は吸い寄せられるように顔を近づけていった。
「ジョセフ様とは、どういうお方なのだ?」
「はへっ??」
ミーシアの言葉に、俺の思考はフリーズした。
え?なに?
なんで今ジョーイの名前が?
え?はい??
「か、勘違いしないで欲しいのだが・・・わ、私は別に、あの方の事が好きとか、そんなんじゃなくて、ジョセフ様の従者として、あの方の全てを知る必要があるだけなのだ」
いや、ナニコレ。
『あ、あんたのことなんか、好きじゃないんだからね』の第三者パターン。
いや、そんなパターン求めてないんですけど。
なんで
「んなこと知るかよ。俺だって、あいつとはそんなに付き合い長くねーし。気になるんなら、自分で調べるんだな。
俺もう寝るから、出てってくんね?」
「そ、そうか。寝る前に悪かった」
ミーシアはそう言うと扉へと向かい、
「キンジ、これからよろしく頼む」
そう言って頭を下げて、ミーシアは俺の部屋を出て行った。
はぁ。
めんどくさ。
俺はこれから、ミーシアのジョーイへの好き好き光線を見ながらあいつらと居なきゃいけねーのか?
ヤレない女ほど、面倒くさいものはない。
レイプするほどの勇気も、もちろんない。
いや、女が体の欲求に負ける瞬間は、極たまに見ていたAVとかでは好きなシーンだった。
でもあれは、テクのある男だからこそ出来ることだと思っている。
俺にはそこまでのテクはないという自覚がある。
だから、レイプなんてしても面白そうではない。
もういい。
ミーシアへの紳士モードは終了。
ミーシアにも、ここの宿代返してもらおう。
あーくそ。
ミーシアが最後に頭を下げたときの胸の谷間が頭から離ねー。
うん。金を稼ごう。
さっさと稼いで、娼館に行こう。
明日から、ギルドで依頼こなしまくろう。
あいつらにもしっかり働いてもらわなきゃな。
あー、くそ。
イライラする。
そしてムラムラする。
待てよ。
このムラムラも、【貯蓄】できんじゃねぇか?
それを娼館に行った時に【返済】すれば・・・
うん。
良いアイデアだ。
が、今は我慢しよう。
まずはこの命を守ることが優先だ。
ある程度の目処が立ったら、真っ先に【ムラムラ】を設定してやる。
今日のところは、歴代彼女との
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