嫌な予感

「何を?」

 嫌な予感がした。

「あなたと話しをするのとても楽しい。いつまでも話していたい。でも・・・・・・これはあなたのためにならない」

「何いってるんだ。オレは来るよ毎日。君に会いに」

「私がいたらあなたの為にならない。だから決めたの」

 アカネは少し間をおいて言った。


「このプログラムは完全に消去します。私だけでなくシステム全体を」

「・・・・・・・待ってくれよ、今起こっていることは奇跡、そう、このシステムは奇跡のシステムなんだぞ」

 必死に止めようとした。

「三分、完全消去までの時間よ」

 アカネは悲しそうに告げた。言い終わるとともにディスプレイに白い文字でカウントダウンの数字が表示された。


「オレと話すのが、嫌なのか?」

「楽しいに決まっているじゃない!」

 泣き声ともつかない叫び声。

「このシステムは人々の役に立つと思ってきた。現にあなたは奇跡だと言ってくれている」

「そうだよ、これは奇跡だよ。これからもオレと同じような人の助けになる」

「でも、私がいるとあなたはきっと先に進めない。ほかの人もきっとそう」

「・・・・・・」

 心の底では分かっていた。分かっていても、毎日来てしまうであろうことも。

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