伝えたかった言葉

「メッセージくれたの、君?」

「うん。本当はだめと思ったんだけど、あなたがあまりに落ち込んでたんで」


「三日間。記憶があるんだよね」

「亡くなる前、三日分だけど・・・・・・」


「じゃあ、あの日のこと謝らせてくれ。ゴメン!」

 ショウタ大声で謝った。頭をさげた。肩は震えていた。

 後悔しても取り返しがつかないあの態度。

 アカネも何のことか分かったようだった。

「許してあーげない」

 彼女はお茶目に笑いながら言った。

 ショウタは顔を上げた。

「ムッとしたのは事実だけど、そんなことで嫌いになんてならないよ」

「・・・・・・怒ってないの?」

「仕事、頑張らないとダメな時期だったし、疲れてただけなんだよ。そう思ってた」

 優しさと気遣いにショウタの目から涙があふれ出した。

「もー、泣かないの。」

「・・・・・・うん」

 アカネは、ボロボロに泣くショウタをなだめた。

「許してあげるかわりに約束。これからは、周りの人に優しくすること。疲れてイライラしててもね」

「・・・・・・はい」


「あと、二つ。伝えたいことがある」

「何?」

「ありがとう、こんなオレと一緒にいてくれて」

 ショウタは少し深呼吸をしてから言った。

「こちらこそ、ありがと。うれしい」

「で、三つ目は?」

「三つ目はまだいい。もっと話しをしようよ」

「話って言っても、私、三日分の記憶しかないよ」

「大丈夫。昔のことはオレが話してあげるから。これから、どんどん記憶を増やしていけばいい。そうだ、次は写真を持ってくるよ」

「・・・・・・これから・・・・・・」

 アカネは沈黙した。

「ショウ君・・・・・・聞いてほしいことがあるの」

「・・・・・・何?」

「私、決めたの」

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