準備

俺はその後決闘をするため、ギルド職員に訓練場の使用許可を貰うためにカウンターに行き話しかけた。


「ねぇねぇ。お姉さん。訓練場使ってもいい?」


今更だが俺は…いや私は今は女の子なので女の子みたいな話し方にすることにした。

ちなみにお姉さんはめちゃくちゃ美人だった。

男だったら気を失うかもしれなかった。

危ない危ない。

美人さんの話はいいから許可?


「え?ダメにきまってるじゃないですか?貴方が怪我したらどうするんですか?」


もちろんの如く断られた。

その会話を聞いていたルーカスさんは、この会話になることが分かっていたかのようにそそくさと、カウンターに来てお姉さんに何かを耳打ちした。


「姉ちゃんあの嬢ちゃんが…ない目に…会わないようにするための…だ。だからさ…場貸してくれよ


途切れ途切れだったが大体の内容は掴めた。

ルーカスさんはどうにかして訓練場を使わせて貰えないか私の代わりに頼んでくれているようだ。

やっぱり優しい。


そして、ルーカスさんの耳打ちが終わると、受付のお姉さんはさっきまでの不安そうな顔をすぐにやめ、ニッコリと笑った。


ウッ…効果は抜群だ?ん?あんまり、魅力的に見えないな。

もしかしたら性別が変わって思考も変わっちゃっているのかもしれない。


「そういうことなら訓練場の使用を認めます」


認めてくれるらしい。

ルーカスさんの交渉術はすごいな。

受付さんあんなに嫌な顔してたのに。


「そう言えば貴方の名前は?」


受付のお姉さんに聞かれたため名前を答えようとした。


「私の名前は、ユ…」


ハッ危ない。この姿でユウトとかいう名前はダメだな。

なんて名前にしようか。

私が名前に悩んでいる間受付さんはずっと頭の中に?が浮かんでいるようだった。

それはそうだよな。

名乗っている途中で悩み始めたんだから。

そして、流石に受付さんは不審に思ったのか再度聞いてきた。


「それで貴方のお名前は?」


困った。これではすぐに答えないとじゃないか。

めんどいから数秒で思いついた名前にすることにした。


「ユーリアだよ!」


我ながら安直すぎる名前だ。私のユという文字と、テリアのリアをとって伸ばし棒を付けただけなのだから。


「はい。ユーリアさんですね。訓練場を貸し出すには冒険者カードが必要なので仮のカードを渡しておきます。決闘に勝った場合正式なカードにお取替え致しますので、無くさないようにしてくださいね?」


「はい!分かりました!!」


仮のカードを受け取った。

名前だけしか書いてない簡素なカードだ。

これが正式なカードになると冒険者ランクが追加されるらしい。


「では、準備も出来ましたし訓練場に移動しましょうか。」


受付さんが訓練場に行くように促したので、「はい!」「おう!」とルーカスさんと声を合わせる気は無かったが合わせて訓練場に向かった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る