第4話:恋は突然始まるもの
死ぬと決めた日から、二回目の朝を迎えた。
カーテンから漏れる朝日が眩しい。
カーテンを開いて、部屋に光を取り入れて、カレンダーを見る。今日も平日。流石に彼女は今日は学校に行っているはずだ。何気なくスマホを確認すると「おはよう」と彼女からメッセージ。「おはよう」と返信する。こんなやりとり、いつぶりだろう。すると彼女から「学校行ってくるね」ときた。「行ってらっしゃい」と返信する。すると何故か「好きだよ」という文言とともに投げキッスするスタンプが送られてきた。
「……うわ」
呆れながら「私はそう簡単に落ちませんよ」と返信をする。既読がつかなくなった。家を出たのだろうか。
しばらくすると「土曜日、楽しみにしているよ。それまで死なないでね」ときた。
「……死なないわよ」
「もう死ねません。あなたのせいで死ぬのが惜しくなった」と返す。送ってから、なんだかちょっと勘違いされそうな文だなと苦笑いしてしまう。フォローを入れる隙もなく「愛している」と返ってきた。
『私は君の顔に惚れた。中身はどうでも良いし、君がいなくなったところで、代わりを探すだけだ。一目惚れはしたが、まだ愛してはいないんだよ』
昨日はそう言っていたくせに。中身を知って愛が芽生えたとでも言うのか。
彼女の悪戯っぽい笑顔が浮かんで、胸がきゅんと締め付けられる。
いやいやいやと首を振って否定するが、心臓はその否定に反発するように、ドキドキと高鳴る。それを否定するように「私は愛してません」と彼女に返信する。
『いつまでそう言ってられるか見ものだな』
彼女の言葉が蘇って、悔しくなる。次のデートは土曜日。カレンダーを見た瞬間、楽しみだねと言わんばかりに、心臓がはしゃいだ。いやいや、楽しみになんてしていない。
「……土曜日か」
改めてカレンダーを見る。今日は火曜日。今日を含めてあと四日。次はどこに連れて行ってくれるのだろう。
やっぱり楽しみなんじゃないかと、心臓がはしゃぐ。『恋は突然始まるものだよ』と、脳裏で彼女が意地悪く笑った。
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