16-ⅩⅩⅩⅠ ~閑話~
「そうですか。最後の決闘は、3日後」
『おう。それで革命はケリがつく』
蓮の安里探偵事務所への定期連絡も、もう何度目だろうか。そこまで数えるほどでもないが、わざわざ数えることもない。基本的に安里が受ける報告は、蓮がどこそこの素人の学生をボコボコにしたという話がほとんどだ。そんな至極当たり前のことに、彼は興味はない。
「……で、二ノ瀬才我くんは、手掛かりはありそうなんです?」
『それがなぁ……さっぱりでしょ』
「だと思いましたよ。ケンカ楽しくて、探すの忘れてたんです?」
『違えよ! 探しちゃいる。……でも、誰も知らねえんだよ』
生徒会長をはじめ、決闘で戦ったクラスの面々に、蓮は片っ端から才我少年の顔写真を見せた。だが、どの生徒も首を横に振るばかりであり、文字通り空振りに終わる。
『ホントにいるのか? 不安になって来たぜ』
「いるのは間違いないと思いますよ。どんなに異能があろうが、頭が良かろうが、所詮は9歳児ですから。一人で生きていくには、ハードルは高いでしょ」
『……そんな、もんか』
「ええ。一刻も早く、見つけてあげてくださいよ。お姉さんに、3年ぶりに合わせてあげましょ」
『そうだな。……そっちは、何かわかったか』
「ええ。……恐らくですけど、才我くんがいなくなった理由が」
『ホントか?』
「それを鑑みても、その学園に彼がいるのは間違いありません。……詳しいことは、資料を送っておきますから、それ見てください。じゃ」
そう言って、安里は通話を切った。そして、詳細の資料をメールに添付すると、安里は蓮に送る。
そして、応接用のソファにうなだれている、愛を見て困ったように笑った。
「……せっかく蓮さんがいないのに、貴方が使ってちゃ仕方ないでしょう」
「ごめんなさい……でも……」
仰向けで寝転がり、腕で顔を覆っている愛の表情は、うかがい知れない。そうなってしまうのも仕方ないと、安里はわかっていた。
「いえいえ。こちらこそすみませんねえ。愛さん、家政婦なのに。色々調べもの手伝ってもらっちゃって」
「いえ……。私が役に立ちたいって言ったことですから。でも……」
うなだれている愛は、ポツリと呟く。
「……こんなの、酷いですよ……!」
「……どうやら、蓮さんもそう思ったみたいですよ?」
愛の言葉に、安里はスマホの画面を見せる。蓮に、例の資料を見せた時のものだ。
『は?』
『マジ?』
『嘘だろ?』
そんな驚愕の言葉が、立て続けに並んでいた。
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