第11話 【アイドル光と闇の行方編:後編】きらきら星と、最強さん。(後編)
11-プロローグ ~前回のあらすじ~
「やあやあ皆さん、こんにちはこんばんは。僕の名前は、アザト・クローツェ。いわゆる狂言回し、という奴です。
さてさて、この度はこのページを開いていただき、ありがとうございます。こちらは、『紅羽蓮は、最強さん。』の第11話となります。
いつもならこんな始まりではないのですが……今回は、ちょっと例外でして。なにしろ、前後編ですからね。前回のおさらいは必要かと思いまして。
あ、もちろん前回の第10話をご覧いただいても大丈夫ですよ。10万字くらいありますけど。
と、言うわけでね。前回のあらすじです。
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飼い犬のジョンにせがまれて、早朝に散歩していた蓮さん。小さいころに遊んでいた町並みを思い返しながら、近所の公園へとやって来ます。
そこで、ダンスの練習をしていた幼馴染の
蓮さんが旧交を深めていると、安里探偵事務所に2つの依頼が舞い込んできました。普段依頼なんて来ないのに珍しい事です。
一つは、殺人事件。各界に影響力を持つ大物資産家、
そして、もう一つの事件。それは、大手芸能事務所のプロデューサーさんからでした。なんでも、彼の担当しているアイドルに脅迫状が届いたのだとか。
ニューヒロイン・プロジェクトと呼ばれる大型アイドルプロジェクトでは、とあるユニットがデビューを控えていました。その名は『DCS』。
蟲忍衆のお三方にデビューのタイミングを奪われてしまった、可哀想な子たちです。事務所としても、これ以上デビューを遅らせることはできませんでした。
そしてそのメンバーに例の夢咲香苗さんがいたことで、蓮さんが直接芸能事務所にいって護衛することになったんですよね。ま、いなくても同じことになったと思うけど。
DCSのメンバーは香苗さんのほか、ムードメーカーで天真爛漫な
いやもう、詩織さんたちASHとだだ被りなんですよね、キャラが。こんなのが同時期デビュー何かしようものなら、その比較は凄まじいことになっていたでしょう。
なにせ、ASHは今をときめく超売れっ子アイドルですからね。ユニット名も、何と言うか似てますし?
さて、DCSの護衛を勤めることになった蓮さん。彼女たちのデビューは、『アイド☆ルーキーフェス』という、新人アイドル発掘特番です。
今年デビュー、またはデビュー予定のアイドルたちが、自分をアピールする場ですね。なので、ASHも参加者に入っていました。ですが、香苗さんたちはむしろ気合十分と言う感じで、入りの雰囲気は悪くなかったですね。
むしろ雰囲気が悪いのは蓮さんの方でした。なにせ、この直前に、彼は知ってしまったんですよ。
この特番で、大手芸能事務所とテレビ局ががっつり癒着していたことを。
特番は予選と本選に別れていて、予選をかちぬいた15組が本選としてテレビに出ることができる、という内容だったのですが――――――実は本選の勝ち抜きできるユニットは、大手事務所が金を握らせて、あらかじめ決まっていたのでした。
香苗さんたちDCSも、事務所の力で予選勝ち抜きは決まっていました。彼女たちの努力を全て無駄にしているように見えたんでしょうね。蓮さんは終始不機嫌でした。
そして始まった本選。DCSはファイナリストのトップ4組になりますが、ここでやらかしたのが絶対王者ASHでした。
他3組のパフォーマンスを、そっくりそのまますべてコピーし、それ以上のパフォーマンスを見せつけるというトンデモっぷり。さすが忍者ですよね。
結果、『アイド☆ルーキーフェス』は詩織さんたちの独壇場で終わりを迎えてしまいました。
さて、問題がややこしくなるのは、むしろここからなんです。
まず、DCSはデビューしたものの、積極的な活動ができませんでした。理由としては、芸能界の大物俳優、
彼が殺されたことで、連続殺人の「共通点」が見えました。それは……「枕営業」。アイドルや女優に、チャンスをちらつかせて肢体を貪る、そのような行為を殺された二人は行っていたのでした。
タイミング的にも、脅迫状と殺人事件の犯人が無関係とは考えにくい。そう考え、DCSのメディアへの露出は抑えられました。しかし、これは彼女たちに不信感を与えてしまいます。
そして、特番予選での裏取引が週刊誌に報じられたことで、その不信は臨界へと達しました。結果、ニューヒロイン・プロジェクトは空中分解してしまいます。
残ったのは、1人アイドルへの夢を諦められない香苗さんだけでした。
それだけだったら、まだ良かったんですけどね。事態はさらに悪化します。
香苗さんに、枕営業の話が来ました。持ちかけたのは、特番の審査委員長を務めていた
突き止めた蓮さんが慌てて会場のラブホテルに駆け込むと――――――。
そこにいたのは、白い体毛の怪人でした。帯刀は既に殺されていたのです。
香苗さんは目だった怪我こそなかったものの、心にひどい傷を負い、引きこもってしまいました。
蓮さんはやっぱり気にしていたようで、彼女には何とか立ち直ってほしかったようですね。
その為に彼がしたことは――――――。
引きこもっていた香苗さんを、力づくで引っ張り出しました。
普通、上手くいかないと僕は思うんですがね。どういうわけか、香苗さんは少しずつ元気を取り戻しまして。
再びみんなとアイドルをやりたい、と思えるようになりました。いやあ、良かった良かった。
DCSで集まり、再び頑張ろうと言ったところで、彼女たちは新しい事務所に所属することになります。
スタンドアップ・プロダクション。ニューヒロイン・プロジェクトのスタッフが独立して立ちあげた芸能事務所です。
香苗さんたちは、営業や企画にも口を出すことを条件に所属を決めたのでした。なぜか、僕の探偵事務所で。
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……と、言うのが前回までのお話です。ここから始まるのが後半戦。果たして、彼女たちはどのようなアイドルになっていくのでしょう?
そして、3人を殺した怪人の正体は?
蓮さんは、香苗さんを守りきることができるのでしょうか――――――?」
「……おじさん、何してんの?」
スマホの前でしゃべり倒す安里を、彼の姪っ子である夢依が怪訝そうに見やる。
「実は、●ーチューバーになろうかな~、と思いまして」
「ええ? やめてよ、キモい」
ドストレートすぎる感想を述べて、彼女は自室へと引っ込んでしまう。
一人取り残された安里は、静かにスマホを手に取ると、録画したデータを笑顔で消去した。
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