3-ⅩⅥ ~阻む者たち~
ムラタドリームワールドの駐車場へとやってきた蓮たちは、目の前にいる2人を見て驚きを隠せなかった。
一台の車が止まっていたのだ。そして、その車には覚えがある。安里の乗っている車だ。
そして、車の前に、立つ者が2人。
朱部純。そして、先日安里が作っていたロボット、ボーグマンだ。
「……朱部さん? ストライキしてたんじゃ……?」
「悪いけど、先に復帰させてもらったわ」
「……安里の野郎もいるのか」
「そうね。ここに来ているわよ」
「……なら話は早え。中に行くぞ」
そう言い、進もうとした蓮たちは、足を止めた。
朱部は、蓮たちに銃口を向けていた。恐らく、本物の銃だろう。
「……何の真似だ」
「ここを誰も通すな。それが、所長命令よ」
「……俺ら相手でもか?」
「ええ」
構わず進もうとする蓮の足元に、銃弾がめり込んだ。
「次は当てるわ」
「当てて止められるならそうしろよ」
そう言い、蓮は構わず進む。
朱部の銃弾が、蓮の眉間を捕らえた。蓮の身体が後ろにのけぞるも、倒れはしない。立ち直した蓮の後ろに、ひしゃげた銃弾が乾いた音を立てて落ちた。
「蓮さん!」
「……本気みたいだな」
「私は、仕事するときは常に本気よ」
朱部は大してひるんだ様子もなく、蓮に銃口を向ける。
「……愛、お前、車に戻ってろ」
蓮が身構えるのを見て、愛はすぐさま車に戻る。車に残っているのは、愛と先田の二人だ。
蓮と葉金は、車の前で朱部たちの前に立つ。
蟲忍変化、の掛け声のもと、葉金は赤い鎧をまとい、ムカデニンジャーへと変身した。
降り出した雨は、あっという間に豪雨と化す。
両陣営は動かない中、落雷の光が輝いた。そして、数秒遅れて轟音が、駐車場へと響く。
それを皮切りに、両陣営がぶつかった。蓮はボーグマンと、葉金は朱部とである。
朱部は拳銃を葉金へと向け、発砲する。葉金は撃たれた銃弾を鎧で弾くと、そのまま鉤爪を突き立てた。
朱部はそれを銃を持つ手で受け流し、そのまま手から銃を放す。もう片方の手で別の銃を手に取った。
だが、葉金の攻撃は腕の鉤爪だけではない。鎧の胴部分からも爪が伸び、生身の朱部へと向かう。朱部は後ろに跳びながら、手に取った銃を撃ち放った。
葉金が頭をひねって避ける。銃弾は、捨てられた車を貫いていった。徹甲弾である。
「……人間の膂力で撃てるものか!?」
思わず葉金は叫んだ。あれほどの威力の銃弾を、普通の銃で撃てるはずがない。
それもそのはずで、朱部の銃は安里が作った特注品である。
そして、そんな銃を、朱部はもう一丁取り出した。
徹甲弾が、二丁拳銃で連射される。地面を激しく抉る銃撃が、葉金を襲った。
葉金の鎧は、徹甲弾の威力には耐えられない。
素早く動き、躱すしかなかった。
(……銃弾である以上、弾切れを起こすはず……!)
走りながら、葉金は二丁の銃の弾切れを待つ。しばらく躱し続けたのち、両方の銃から乾いた音のみが響いた。
(……今だ!)
葉金は朱部めがけて突っ込んだ。
「……葉金さん、危ない!」
愛が叫んだが、間に合わない。
葉金が突っ込んだのは、罠であった。
突っ込んできた葉金の鉤爪を受け、銃のグリップを首筋にあてる。
銃弾がないはずだが、朱部は引き金を引いた。
「があああああああああああああああああああああああああああっ!?」
葉金の悲鳴とともに、バチバチという音が響く。
朱部の銃はただの徹甲弾銃ではない。なんと、スタンガンにもなるのである。雨が降っていることもあり、葉金の身体に高圧電流が流し込まれたのだ。
朱部は黒い厚手の手袋をしており、中はゴムを張って耐電性を上げていたのである。それゆえ、彼女は痺れることなく、葉金だけに電流が流し込まれたのだった。
あまりの激痛と衝撃に意識を失いかけたが、かろうじて踏みとどまる。葉金は止まらず、鉤爪を振り下ろした。
朱部は顔色一つ変えずに鉤爪を躱すも、爪は彼女の顔に傷をつけた。彼女は銃を投げ捨てると、お次は手榴弾を投げ放つ。
「……っ!」
葉金は手榴弾を上空へ打ち払った。爆弾は上空で爆発し、衝撃と爆風をあたりへまき散らす。
「蟲忍流奥義……
相棒たる蟲霊の百足を炎の龍へと変貌させると、そのまま朱部へと放った。
炎の龍は朱部へと向かい、大爆発を巻き起こす。
炎の中を、朱部は飛び出した。炎による火傷はしていたものの、その勢いは止まらない。
彼女の手には、ショットガンが抱えられていた。そのまま、葉金めがけてぶっ放す。
葉金は爪を正面に集めて、銃弾を受けた。咄嗟に躱しきれなかったのだ。衝撃で爪が吹き飛び、鎧の内側にも伝わる。直接傷はないものの、衝撃だけで吐き気のする激痛がした。
「……がっ……!」
激痛の余り、思うように動けない葉金に向かい、朱部はショットガンをリロードする。次に撃たれれば、防御はできないだろう。
「……おらぁっ!!」
それに気づいた紅羽蓮が、朱部のショットガンをすばやく蹴り飛ばした。
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