8月(2021年) 新書類①

 今回も読んだ本が多いので、頑張って少なめの文字で感想を書いていきたいと思います。

 

①北川成史『ミャンマー政変』(筑摩書房、2021)

 ついに、現在のミャンマーについての本が出ました。ここ数日はアフガニスタンのことが集中的に取り上げられてはいるものの、ミャンマー情勢も座視すべきではないと思うところです。日本にもできることがあるはずだし、やらなければならないことがあるはず。


②樋口健太郎『摂関家の中世』(吉川弘文館、2021)

 摂関家が五つ(九条、近衛このえ、一条、二条、鷹司たかつかさ)に分裂したのちのことまで詳しく述べられている本。南北朝期から戦国期にかけては、公家の人々も大変だったんだなあと感じました。


③萩野敦子『清少納言』(勉誠出版、2004)

 先月読んだ『はなとゆめ』の参考文献の一つ。少納言さんはいずれ、「歴道直下」の方で登場してもらう予定です。中宮定子と清少納言の身分を越えた絆の深さに心打たれます。


④戸川点『平安時代の死刑』(吉川弘文館、2015)

 怖いもの見たさで読んだ感はあります。平安時代には本当に死刑がなかったのか、またそれ以前から抑制の意識はあったのではないかという観点から述べられています。死刑というある意味特異な刑罰について、歴史的観点から見ることができます。


⑤川田稔『木戸幸一』(文藝春秋、2020)

 木戸幸一は木戸孝允の甥木戸孝正の子で公爵。戦前の日本、特に戦時中の宮中では非常に重要な役回りを演じました。近衛文麿の後任首相に東条英機を推薦したのが木戸です。戦争責任については判断が非常に難しいようで、極東国際軍事裁判では11人中5人が死刑に賛成し、6人が反対したことで死刑を免れたとか。

 なお、先日、NHKの番組で生前の木戸をインタビューした動画が公開されていました。教科書に載っている人が喋っているのを見るのは不思議な感じがします。


⑥武田早苗『和泉式部』(勉誠出版、2006)

 恋多き人、和泉式部についての伝記です。③の『清少納言』と同じ会社から出てます。紫式部には「歌はいいけど素行はよくない」と評されたとか。一種の芸術家肌だったのでしょうか。娘の小式部内侍の死は相当辛かったのではないかと思います。


⑦千々和泰明『戦争はいかに終結したか』(中央公論新社、2021)

 今月読んだ本の中で一番いい本だったように思えます。

 タイトル通り戦争がどのように終結するかに注目している本です。ぜひ読んでもらいたいのですが、戦争には「妥協的解決」か「殲滅に近い終結」があるとされており、そのどちら側で戦争が終わるかは「現在の犠牲」を重視するか、「将来の危険」を重視するかによって変わってくるというのです。

 第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争などなど、いくつかの戦争をピックアップして考証されています。戦後76年に読めてよかったです。

 


 一枠におさめようかとも思ったのですが、一応分けますね。

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