7月(2021年) 漫画類②

⑥コトヤマ『よふかしのうた』8巻(小学館、少年サンデー)

 言わずと知れた、吸血鬼漫画です。かつて『だがしかし』という漫画がありましたが、それと同じ作者さんですね。あちらはギャグの割合がかなり高いですが、こちらはややシリアスに比率がふれています。とはいえ、あのくだけた感じは健在で、笑える部分も多いです。同じ題材で、もしコトヤマさん以外の人が描いたなら、全く違う話になっていたんじゃないかと想像します。

 ヒロイン、ナズナの過去が次第に明らかになっていっています。9巻はとても重たい展開になることが予想されますが、恐れつつも楽しみです。


⑦真島ヒロ『EDENSZERO』16巻(講談社、少年マガジン)

 ラグナが中心的な巻だったと思います。まさかここまで重要なキャラだったとは思いもしませんでした。

 真島さんの漫画は『RAVE』、『FAIRY RAIL』と、全て読んでいますが、あとがきで「僕の漫画では普段やらないような表現、展開などを予定している」と書かれている通り、今までの話とはかなり違って見えます。今回の葵宇宙アオイコスモス編の結末については賛否両論が予測されるとか。一体どんな終わり方になるのか、非常に楽しみです。


⑧原作:山田鐘人、作画:アベツカサ『葬送のフリーレン』5巻

                          (小学館、少年サンデー)

 ここ最近で一番注目している漫画です。有名なのであらすじは省ますが、マンガ大賞を取っているのが納得できる話です。自分も年を取って、バトルものとか、ファンタジー系とか、そういう話はほぼ買わなくなりました(『EDENSZERO』は例外)が、その壁を砕いてまでも追っている漫画です。各キャラクターの表情は一見薄いようにも見えますが、読んでいくと全くそうではない、むしろ逆だということがわかります。

 今巻から本格的に始まった魔法使い試験編はしばらく続きそうです。なんで試験受けてたんだっけ……と思わないでもなかったですが、試練をどうこなしていくのか、その後物語がどう展開していくのかが気になるところです。


⑨涼川りん『あそびあそばせ』12巻 (白泉社、ヤングアニマル)

 言わずと知れたクレイジー漫画(誉め言葉)の一つです。アニメが終わって久しいですが、ギャグ漫画系であんなに笑ったのは『天才バカボン』以来だったかもしれません。

 そんなこの漫画ももう12巻とは。キャラクターが増えてきて、段々見分けがつかなくなってきてもいます(老化)が、華子にしろオリヴィアにしろ、以前よりは多少落ち着いてきたんじゃないかと思います。もしそうでもなかったら、これも慣れということなのでしょうか。

 ちなみに、作者の涼川りんさんは、絶対頭のいい人だと思います。


⑩くずしろ『兄の嫁と暮らしています。』10巻 

         (スクウェア・エニックス、ヤングガンガンコミックス)

 現在、私の読書文化史においては、第二次漫画文化(時代)と新書・選書文化が同時に進んでいる状況です。このうちの第二次漫画文化は高校時代の末、受験期直前というとんでもない時期から始まったのですが、そのときに買った漫画は、概ね2018年冬のアニメの原作がほとんどでした(『ゆるキャン△』しかり『たくのみ。』しかり、『ラーメン大好き小泉さん』しかり)。


 しかし、物事には先駆というものが必ずあります。小説一強の時代に唯一買っていた漫画が連載終わって久しい、『川柳少女』(五十嵐正邦、マガジン)とこのくずしろさんの漫画でした。


 自分が読んできた話、あるいは書いてきた話を振り返ってみると、結構バッドエンド風のものが多かったりします。結果的にはいい感じで終わる話でも、途中に挽回できないんじゃないかと思うような重たい展開があるものが多いです。

 御多分に漏れず、この話は最初からそういう設定がなされていました。


 あらすじは下の通り。


 主人公は女子高校生志乃。両親は早くに亡くなり、唯一残っていた肉親の兄も亡くなりました。しかし、彼女にはたった一人、血のつながらない家族が残っていたのです。それが兄嫁の希。義理の姉妹をつなぐものは、はっきり言ってもうないのかもしれませんが、それでも二人は一緒にいることを決めました。少なくとも今は……。


 普段、キャラクタ―に感情移入したり、読んでいて泣きそうになることはないのですが、この漫画については例外的です。泣いたりはしないですが、主人公志乃がたまに見せる涙には本当に胸を打たれます。もう、ほんとに。幸せになってほしいキャラランキングを作るなら、第二位に大差をつけて堂々の一位に志乃を置くと思います。

もちろん、希さんにも幸せになってほしい。けれど、二人共に幸せになることはきっと痛みを受け入れることにもなるんだろうと、ここまで読んできて痛感しました。


 我が家の連載中漫画の本棚の中でも最古の部類に入る漫画だけに、かなり思い入れが深いです。⑩に入ってからの文字数を見ればわかるでしょう。なんならまだ語り足りないくらいです。が、続きは来年(予想)の11巻に譲るとして、ここまでにしておきましょう。



 ちなみに、私は百合漫画とは違うと思っています(その理由については長くなるし理屈っぽくなるのでやめます)が、捉え方次第でそう言う風に読むこともできます。


 



 今月はだいぶ読んだなあと思います。新書類と併せてここまで打つのにかなり時間がかかりました。来月(8月)はもう少し簡略な形にするかもしれませんが、よろしくお願いします。蓬葉でした。

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