テイマーとして異世界転生した飼育員はワニチートでスローライフを送りたい

第5話 魔法

ダイという名前をもらい1年ほど経った。

そして、この世界のことがだいぶ分かってきた。

まず、前世との大きな違いはこの世界では魔法が生活を支えていることだ。

水を汲み上げることや室内を明るくするろうそくの灯りなどの生活に使うことから

攻撃に使う魔法や治癒、筋力強化といった多くのことを魔法に頼っている。

一般的な生活魔法はほとんどの者が少し練習すれば使えるようにるようだが、

攻撃や治癒などの特殊な魔法に関しては個人によって適正や使える量などが異なるようだ。

レオン王国民は5歳の誕生日に教会で適正職業の啓示を受けることで

自分の得意な魔法を知ることができる。

トランザイル家は代々テイマーに適性のある家系らしいが、

魔力量によっては従魔にしたい魔物をテイムできないこともあるようだ。

魔物は術者の魔力量で主人足り得る物かを判断するらしい。

魔力量は鍛錬によって増やすことができるようだが

生まれつき最大値は決まっているらしい。

以上の情報は、オレが２歳の頃に乳母のエリーが使っている魔法に興味を示した時に教えてくれたり

兄のフレットが啓示を受けた際

「オレも父様と母様と一緒のテイマーだ！

そ・し・て・なんと！このニードルラビットはオレの初めての従魔なんだぜ！！

くぅ〜この角の輝きは他のやつとは比べ物にならないぜぇ！」

と当時2歳のオレと4歳のジョージに自慢しながら話してくれのだ。

しかし、詳細に関してはよくわからなかったので

トランザイル家の書庫に夜な夜な忍び込んで調べた知識になる。

ここで一つ問題がある。

5歳にになったときに卵のゴロウと再会ができる約束になっているが

いざ再会した時にオレがゴロウの主人として認められない可能性があるのだ。

ゴロウがどんな魔物の種類で転生をしたかがわからない為、

5歳までにどんな魔物にも認めてもらえるだけの魔力量を持っておきたい。

魔力量を増やす鍛錬でよく使われる手法は、魔力を使い切り枯渇させることで回復した際に少しずつ最大値が上がっていくらしいが、まだオレは魔力の使い方を知らない。

以前エリーに生活魔法の使い方を知りたいとねだった時は

「すみません。魔法は5歳の啓示を受けてからじゃないと使ってはいけない法律になっているのでお教えすることができません。」と言われ断られてしまったことがあり、

いくらオレが3歳とはいえ法律を破るのは気が引けた。

その為、人がいない時間を見計って書庫へ忍び込み

他人からは使っていることがわからない魔法がないかを調べることにした。

ある日の昼過ぎ、人がいない事を確認して書庫に忍び込むことに成功をした。

中々、人目につかない生活魔法というのが見つからない。

そんな中、ある1冊の本が目に入ってきた。

『人体魔力循環新書』

内容はほとんど理解することができなかったが

その中に、図解と一緒に魔力を血液と一緒に体内で循環させていく方法が記されていた。

試しにその方法を試してみることにした。

集中して、魔力が体全体を流れるイメージで・・・

「はっ！？」

目を開けると書庫の床に倒れ込んでいた。

日の傾きから1時間ほど気を失っていたようだ。

体が重くとても怠い。若干の頭痛もある。

どうやら魔力切れに成功したようだ。

バレないように『人体魔力循環新書』をもとの位置に戻し、書庫から抜け出した。

その夜は、夕食を食べてる間に寝てしまったらしく、気付くと翌朝となっていた。

流石に、毎日同じようなことはできないと、これからは寝る前に魔力循環を行うことにした。

オレは、今夜も気絶する。