第4話 名前
「坊っちゃま。お着替えの時間でございます」
乳母のエリーがドアをノックしオレをお越しにくる。
エリーはまだ眠そうなオレが目を擦っている間に身支度を終わらせる。
どうやっているのかを知りたいと毎朝思うのだが目を開けた時には終わっているので視れたことがない。
「坊っちゃま。旦那様が書斎でおまちです。」
「わかった。エリーありがとう」
まだ拙い口調でエリーに感謝を伝えると
父のバルシュの書斎へと向かう。
「とおさま。およびですか?」
「うむ。来たか入れ」
「はい。しつれいします」
そこには父のバルシュと一緒に母のメリッサもいた。
「誕生日おめでとう。今日でお前も2歳となった。」
父のバルシュが真っ直ぐオレの目を見ながら、とても通る声低い声でそう伝える。
そうだ、今日はオレの2歳の誕生日だったのだ。
すっかり忘れていたので驚いていしまったが、
ここは子供らしく喜ばなければ!
「ありがとうございます!!」にぱッ
母のメリッサは微笑みながらうなずく。
「そして2歳となった者には名が与えられる事を知っているな?」
2歳になるまで名前をつけない慣しがあるらしく
2歳の誕生日に子供たちは名前を与えられるのだ。
「はい。とおさま」
「よろしい。今日からお前の名は・・・《ダイ》だ。」
「ダイ・・・ありがとうございます。とおさま!」
「ダイこちらに来なさい。」
バルシュがとても優しい笑顔で言う
「はい。とおさま」と返事をして少し駆け足で近くへといく。
近づくや否や母のメリッサは膝をつきオレに抱きつく。
父のバルシュも二人を包むようにハグをする。
「ダイ!改めておめでとう!」
バルシュがそう言うと。
「ダイ、可愛いダイ、これからもずっと元気でね。愛しているわ」
と母のメリッサも少し涙声でいう。
昔この国の子供は、乳幼児の死亡率が高かったことから2歳の誕生日というものは
この国ではとても重要なものらしい。
前世では両親が幼い頃に交通事故で他界してしまった為、
思い出はほとんど無いのだが、この心が暖かくなる感覚は懐かしさを感じた。
ダイ・・・前世の名前にも
前世の地球と今いるこの世界の両親がオレにくれた
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