光の案内人へ

音澤 煙管

やぁー久しぶりッ!


拝啓


今思えば、

自然と黙って過ごした場所だった。


お互いもういい歳の大人なのに、

君を連れて行く所は、

みんな子供が遠足へ出掛けるような

場所ばかり。


ほとんどの場所は無意識に、

ぼくが子供時代に無心で

自転車を漕いで居た所だった。


「もう咲いてるかな?」


「どうだろう〜?!」


「……よしっ!探しに行こうーッ」


久しぶりに、無心になれた時。

あの時、童心に戻った時間だった。


たった一つの桜の花を見つけた公園、

その隣はぼくの育った中学校。


それまでの桜は、あまり記憶に無かった。

入学、卒業の頃も忘れている。


馴染みの場所が、

探して居た宝物を見つけだす

新しい場所の様に眩しく見えた。



あの、

時間とその場所、

風と空気、

変わらぬ陽射し、

そして大人の幼い二人……



きっと、

眩しい光に包まれていたと思う。

今となっては、

大事な大事な、

ぼくの宝物になりました……

ありがとう。



敬具




冷たくなった石の上に、

そっと手紙を置いた……

三回忌を迎えた恋人のお墓の前。


君はぼくの前から居なくなり、

もう永遠にココから動かない。


もっと光に包まれた所へ行ってしまった……




追伸

最愛なるぼくの大切な人へ。


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