第12話 ドミニオン・オブ・ソード◆-3

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「王族相手に随分と頑張りましたの」


 アンナは分かったでしょう?とでも言いたげなシタリ顔で微笑む。


 どうやら、彼女の言っていた"直情的な馬鹿ではなくてよかった"というのはこういう事だったらしい。


「……よく言う、白々しい」


「貴方、最終的にお兄様を勝ったような気分にさせましたの、お見事ですの」


「何が勝った気にさせた、だ。この話を受けざるを得ない以上、最初から敗北していると言っても良い」


「断っても良かったんですの」


「俺はどうなっても自衛できるが、聖女様はそうはいかない」


「ま、そうでもしなければ貴方、話には乗らないですの」


 アンナはまたお茶を口にした。


「それで、貴女は何が目的なんだ?」


「……目的?どう言うことですの?」


 とぼけたように聞き返してくる彼女は微笑みを浮かべてはいたが、目は全く笑っていなかった。


「アレは自分から蜂起を考えられる程じゃない。国外へ出ろと言うのに、方法も準備もないと言うのは明らかにおかしい、別の考えがある方が自然だ。それか、他人の意思で動いているか」


「……そういう風に見えますのー?」


「無知故に無謀な夢を見ている、というのもありえるが……」


「なるほどー?」


 アンナは俺の目を検分するように見つめた。


「まあ、遠からず、という感じですの。まあ、いずれ分かりますの。私の正しさが」


 そして降参するように手を広げ、それを認めた。


「……夢想家はこちらの方だったか」


「私以上に、現実が見えている存在は他にいませんの」


「他人を唆し、謀反を企てる者が何を?」


「福音に導かれて法が決まることはありませんの。教会でも国家でも、剣がそれを神聖化するまでは」


「勝者は常に正しいと?」


「正しさは常に"剣の支配"によって与えられますの」


「……暴論だ」


「私はただ、物事をあるべき形にしたいだけ、ですの。邪魔でアホなお姉様の世話はお任せしますの」


 第二王女は悪びれもしなかった。

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